緩和的放射線治療普及のための好事例集
はじめに
緩和的放射線治療は疼痛をはじめとするがんに起因する様々な症状を緩和し、QOLを改善させる有効な治療です。緩和的放射線治療では症状の原因病巣を治療することで症状緩和を得ることができ、薬物療法のSTEPによらず考慮することができます。しかし国内における緩和的放射線治療の普及は依然として十分とは言えません。
日本放射線腫瘍学会 (JASTRO) ではここ数年、緩和的放射線治療の普及啓発のための提言書の作成を行うとともに、患者ニーズの把握、院内・地域連携の現状課題を分析し、患者向けリーフレットの作成、療養・就労支援、多職種・多診療科で協議すべき提言、緩和的放射線治療の地域連携モデルの開発を行ってきました。しかし緩和的放射線治療の診療連携においては病院ごと、地域ごとに普及阻害の要因が異なっており、より具体的に参考となるモデルや好事例が必要であると考えられました。
そこで厚生労働科学研究 里見班・大西班およびJASTRO緩和的放射線治療委員会が中心となり、本好事例集を作成いたしました。構成は院内連携、院外連携、教育・啓発の3つのカテゴリーに分かれ、計27の多彩な好事例からなります。各好事例は1ページ目がシェマを用いたわかりやすい概要・ポイントの説明、2ページ目が詳細説明となっています。ぜひ各施設・各地域の実情や課題解決に合っている好事例集を参考にしていただき、必要とされる患者さんに緩和的放射線治療の実施をはかっていただければ幸いです。
本好事例集が放射線治療医はもとより、多くのがん診療医ならびに関連スタッフによる緩和的放射線治療の推進普及において役立つことを、委員一同切に望んでいます。
令和6年8月
日本放射線腫瘍学会 緩和的放射線治療委員会委員長
埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科
髙橋健夫
緩和的放射線治療委員会(2023-2024年) | ||
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委員長 | 髙橋 健夫 | 埼玉医科大学総合医療センター |
副委員長 | 中村 直樹 | 聖マリアンナ医科大学 |
委員 | 伊藤 宗一朗 | 鹿児島大学 |
今井 敦 | 昭和大学藤が丘病院 | |
牛嶋 陽 | 松下記念病院 | |
江原 威 | 杏林大学医学部付属病院放射線治療科 | |
大久保 悠 | 佐久総合病院佐久医療センター | |
小川 芳弘 | 仙台総合放射線クリニック | |
川中 崇 | 徳島大学大学院 | |
木村 智樹 | 高知大学医学部 | |
清原 浩樹 | 前橋赤十字病院 | |
斉藤 哲雄 | 荒尾市立有明医療センター | |
鹿間 直人 | 順天堂大学院医学研究科 | |
髙岡 大樹 | 名古屋市立大学病院 | |
髙仲 強 | 厚生連高岡病院 | |
田中 修 | 朝日大学病院 | |
永倉 久泰 | KKR札幌医療センター | |
中島 香織 | 旭川医科大学 | |
根來 慶春 | 日本赤十字社和歌山医療センター | |
野本 由人 | 三重大学 | |
原田 英幸 | 静岡がんセンター | |
牧田 智誉子 | 岐阜大学医学部附属病院 | |
馬屋原 博 | 神戸低侵襲がん医療センター | |
村上 直也 | 順天堂大学院医学研究科 | |
安田 茂雄 | 千葉労災病院 | |
吉尾 浩太郎 | 岡山大学 | |
吉田 謙 | 関西医科大学総合医療センター | |
萬 篤憲 | 国立病院機構東京医療センター | |
和田 優貴 | 秋田大学医学部附属病院 | |
オブザーバー | 今野 伸樹 | 広島大学 |
内海 暢子 | 埼玉医科大学総合医療センター | |
江島 泰生 | 獨協医科大学病院 | |
櫻井 孝之 | 金沢大学附属病院 | |
角田 貴代美 | 大阪市立総合医療センター | |
西村 岳 | 京都第一赤十字病院 | |
東 龍太郎 | さがらパース通りクリニック | |
樋口 啓子 | 伊勢崎市民病院 | |
伏木 雅人 | 市立長浜病院 | |
三輪 弥沙子 | 仙台厚生病院 | |
和田 健太郎 | 多根総合病院 | |
和田 仁 | がんコーディネートくりにっく |
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
- 事例09 電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
- 事例10 病院初診予約情報からの拾い上げ
- 事例11 放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携
- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用