緩和的放射線治療普及のための好事例集
事例09
電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
背景
骨転移キャンサーボードは多職種で対応できるなどのメリットが多数ある。
骨転移治療のタイミングを逃して重症化することは避けたいが、時間の捻出や多職種での時間調整が困難で、頻回な開催は現実的ではない。
着眼点
コンサルテーションのハードルを可能な限り下げてみたら?
電子カルテ上に骨転移相談用窓口を作成してコンサルトのハードルを下げる
ここがポイント
- 患者受診は不要
- 放射線治療医・整形外科医がカルテ診で数日以内に回答
解説
骨転移キャンサーボードは、骨転移が重篤になる前に多職種で総合的に対応することができる、主治医への教育効果があるなどの様々な利点がある。しかしカンファレンスの時間捻出や多職種での時間調整が難しく、頻繁に開催するのは現実的ではないが、骨転移の症状はコンサルトのタイミングを逃すことで重症化する。そこで、主治医の教育効果までは求めず、コンサルトのハードルを可能な限り下げることを優先した仕組みを考えた。
電子カルテ上に骨転移相談専用の窓口を作成し、主治医は窓口に相談したい患者情報を登録、放射線治療医、整形外科医がカルテ診の形で数日以内に回答する。緊急性がなければ主治医への直接の連絡は省略し、主治医は適当なタイミングでカルテ参照する。患者の受診は不要。そのため時間的制約は少なく、主治医にとってはコンサルトのハードルが下がり、放射線治療医や整形外科医にとっての負担も軽度で済む。
課題としては、骨転移治療に意欲のある整形外科の存在が大前提である。気軽に相談しやすくすることで骨転移症例を拾い上げるのが目的であるが、認知度が低いと活用されず、広まりすぎると回答者の負担が大きくなってしまう。重症化する前の骨転移に対応できる効果を持つ一方で、相談件数が増えすぎないようにコントロールするのが難しい可能性がある。
また、この仕組みを導入し、「コンサルトしやすくなった」と個別に評価の声をもらうことはあるが、実際に重症例が減少しているのかについての客観的な評価についても今後必要と考えている。
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
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- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用