緩和的放射線治療普及のための好事例集
事例16
地域医療機関との連携:放射線治療ホットライン
背景
放射線治療設備がない地域医療機関にとって、緩和照射の紹介ハードルは高い。
その要因としては、適応が分かりにくい、紹介の手続き(書類)が煩雑、何科に紹介すべきか分からない、などの状況がある。
着眼点
院内の症例相談のような感覚にまで、紹介のハードルを下げられないか?
放射線治療医にダイレクトに繋がるホットラインを導入
ここがポイント
- 気軽な適応相談
- 適応があればその場で予約日時を決定
- 相談窓口の明確化
解説
事例は年間照射件数が550件程度のがん診療連携拠点病院(約500床)のもの。ホットライン導入後1年で43件(月平均3.6件)の電話相談を受け、25件で実際に照射を行った。他院からの緩和照射紹介件数は導入前後1年間で比較して、37件(月平均3.1件)から55件(月平均4.6件)と増加した。
特に訪問診療医からは好評で、訪問診療中に患者の前で緩和照射の適応の電話を掛けてこられた事例もある。また、適応があればその場で初診日時を決定するスピード感や、緩和照射に関しての相談窓口の明確化、日帰り単回緩和照射の取り組み(下記)も紹介ハードルの低下に寄与していると考えている。
課題としては継続的な広報が挙げられる。ホームページに記載する、地域だよりやポスター等で定期的に告知する、開業医向けに緩和照射の勉強会などを開催するなどを行っている。
日帰り単回緩和照射
在宅などで療養しているがん患者にとって、複数回の病院受診はそれ自体が大きな負担である。ホットラインによる人的リソース・照射枠の事前確保や、検証作業を事後にするなどの工夫で、日帰りでの単回緩和照射(初診から照射完了まで2時間半程度)を行うことも可能。
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
- 事例09 電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
- 事例10 病院初診予約情報からの拾い上げ
- 事例11 放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携
- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用