緩和的放射線治療普及のための好事例集
事例25
ごく基本的なことの周知:こまめにしゃべる
背景
「この症例に緩和照射ってどうですか?」と度々聞かれることや、症状が進んでいてもう少し早く緩和照射できればよかったのに、という症例をしばしば経験する。
着眼点
紹介元の医師も、緩和的放射線治療の適応に迷うことが多いのかもしれない。
さまざまな機会を利用して、緩和照射の具体例を紹介してみては?
講演会やセミナーのテーマに関わらず、緩和照射の紹介スライドを1枚混ぜる
ここがポイント
- テーマに関わらず
- 欲張らず1例だけ(スライド1枚)
- 具体的な症例を紹介
解説
講演会やセミナーのテーマに関わらず、緩和照射の適応症例の紹介スライドを1枚混ぜる。当然適応があると知られていると思われるような症例もあえて紹介。くどくならないようごく簡単に。スライド1枚に1症例だけ。説明がなくともひと目でわかるような平易なスライドで。欲張らずに1症例のみ!
(紹介症例の具体例)
- 40歳代女性 乳がん仙骨転移による疼痛、下肢のしびれ
- ⇨ 5回(1週間)の緩和照射で嘘のように症状が改善しました。
- 70歳代男性 肺がん胸椎転移による疼痛
- ⇨ 5回(1週間)の緩和照射で痛みは軽減し、鎮痛剤を減らすことができました。
- 80歳代男性 膀胱がんによる肉眼的血尿、貧血
- ⇨ 10回(2週間)の緩和照射で血尿が消失し、貧血(Hbの数値)が改善しました。
- 60歳代男性 肺がんによる気管支狭窄・無気肺による息切れ
- ⇨ 10回(2週間)の緩和照射で腫瘍が縮小し、無気肺、息切れが改善しました。
その他の事例
地元のローカル放送(テレビ・ラジオ)の健康番組で放射線治療についての出演依頼があった際、最新の放射線治療の話題ではなく、緩和照射をテーマとして取り上げてしゃべった。
その他のアイデア
僻地の病院「誰に伝えれば、地域住民に伝わるか」⇨ 情報発信に長けた地元の顔である「地元議員」に対して講演会を行い、緩和照射について情報発信をお願いする。(残念ながら実現はせず……)
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
- 事例09 電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
- 事例10 病院初診予約情報からの拾い上げ
- 事例11 放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携
- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用