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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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緩和的放射線治療普及のための好事例集 

事例14

既存の連携の仕組みを活用して迅速な治療提供

背景

がん治療ができる病院が限られた地域では、基幹病院に患者が集中しすぎて施設のキャパシティを超えてしまい、迅速に緩和照射ができないことがある。

着眼点

病院間で連携することで、医療圏内で広く情報交換したり、放射線治療の待ち時間が長い病院から短い病院に患者を紹介することで迅速な治療ができないか?

既存の病院間連携の仕組みを活用して、緩和的放射線治療の連携体制を協議

ここがポイント

  • 既存のがん診療連携の検討会を利用
  • 待ち時間の短い他院で迅速な緩和照射の提供を
事例14

解説

地域によっては外科医や腫瘍内科医等、がん治療の人的資源が不足しており、多くの診療科や医師が揃っている特定機能病院やがん診療連携拠点病院に患者が集中することがある。しかし患者が特定の病院に集中しすぎて病院のキャパシティを超えると、患者を迅速に治療することが難しくなる。

富山県西部(砺波医療圏・高岡医療圏)では肺がん診療のマンパワーが不足しており、事実上、肺がん患者は基幹病院に集約されており、その分、緩和的放射線治療に迅速な対応をすることが難しい。そこで年1回開催している肺がん診療の連携体制検討会(ToTaLCare; Tonami-Takaoka Lung Cancer Alliance)のなかで緩和的放射線治療についても議題に出し、緩和照射のための病院間連携の取り組みを開始した。

既存の病院連携の仕組みを活用して、各病院でできる治療を共有する。その結果、患者は放射線治療(特に緩和照射)の待ち時間が短縮でき、基幹病院は患者の過剰な集中が避けられる。限られた医療資源を有効活用することは、患者・病院ともにメリットがある。

その他の事例

高知県は東西約200kmに及び、4つの医療圏からできている。県内において質の高い医療を受けることができる体制を確保することを目的に「高知県がん診療連携協議会」という仕組みがある。令和5年にはその中に放射線治療部会が創設され、放射線治療に関する情報提供や放射線治療提供体制の情報共有(各施設への訪問)等、連携強化を図っている。その部会を通じて、各放射線治療施設への緩和照射症例の紹介を円滑化する取り組みを開始した。

事例14a

院内連携

骨転移診療チーム

緩和ケアチーム

画像診断部門

多職種・その他

院外連携

地域医療機関

外勤先の活用

教育・啓発

地域医療機関

学生・研修医

多職種・非医療者

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