緩和的放射線治療普及のための好事例集
事例17
緩和照射早期開始のための病院間連携
背景
近年、椎体転移の定位照射や再照射など、緩和的放射線治療でも高精度治療を要する場合が増えている。しかし、このような症例では待機期間が長くなることがある。
着眼点
外勤先の病院で、待機期間なく照射することができないか?
外勤先の病院と連携して、早期に緩和的な高精度治療を開始する仕組みを作った
ここがポイント
- 待機期間の情報が容易に得られる
- 自身が対応するので紹介のハードルが低い
解説
リニアック2台、放射線治療の常勤医3名体制の地方の大学病院(都道府県がん診療連携拠点病院)。近年、椎体への緩和的な定位照射や緩和目的の再照射時に、高精度放射線治療を要する症例は増加している。しかし、根治的放射線治療においても高精度放射線治療を要する割合は同様に増加傾向にあるため、緩和目的での高精度放射線治療では、どうしても待機期間が長くなる傾向があった。対策を検討したが、マンパワー的に緩和症例に待機期間が出てしまうのは避けられないという結論に至った。
大学病院では基本的に関連病院を有しており、放射線治療医が非常勤医師(外勤)として出向しているケースが多くある。そこで、外勤先の病院と連携を取ることでこのような緩和症例への待機期間を最小化できないかと考えた。
外勤先として勤務している病院については、照射開始までの待機期間はどのくらいなのか、といった情報はすぐに分かる。また、外勤先でも自分自身(もしくは同僚の放射線治療医)で対応が可能であり、看護師や放射線技師とも関係性がすでに築けているため、紹介自体のハードルが低いというメリットがある。また、地方ということもあり連日の通院が困難という場合もあるため、外勤先の緩和ケア科常勤医師とも連携を強化し、入院でも照射対応できるような仕組みを整えた。
外勤医師がハブになることで関連病院と強力な連携を図ることが可能となり、医療リソースを無駄なく共有することができている。
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
- 事例09 電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
- 事例10 病院初診予約情報からの拾い上げ
- 事例11 放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携
- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用