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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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緩和的放射線治療普及のための好事例集 

事例11

放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携

背景

放射線治療医は週1回の非常勤勤務で、放射線治療部門には専任の看護師も不在。
放射線治療担当技師は3名が勤務。そのような体制の中、緩和ケア科が新設された。

着眼点

放射線治療担当技師が緩和ケア科とのコミュニケーションの仲介役となることで、緩和的放射線治療が必要な症例の紹介につなげられないか?

放射線治療医とともに、治療担当技師も緩和ケア病棟のカンファレンスに参加

ここがポイント

  • 顔が見える関係になることで、技師と緩和ケア科の意思疎通が良好に
  • 治療医不在でも連絡しやすい環境に
事例11

解説

放射線治療担当技師はそれまで骨転移・脳転移以外の止血照射や全肝照射といった緩和的放射線治療の経験が乏しかったため、まずは講義を通じた教育を行った。その後、放射線治療医とともに放射線治療担当技師も緩和ケア病棟のカンファレンスに参加したり、病棟への往診に同行してもらった。また放射線治療の適応に迷う症例について、緩和ケア医が放射線治療担当技師を通じて、放射線治療医に速やかに連絡を取れる体制(ホットライン)にした。

その結果、放射線治療医が業務の関係で緩和ケア病棟のカンファレンスに参加できないこともあるなか、緩和ケア医が放射線治療担当技師とのコミュニケーションがとりやすくなったことで、放射線治療医が不在のときでも緩和照射の相談がくるようになった。「治療の先生に、今度来たときにちょっとカルテを見るように伝えて!」といった依頼が増加した。

また放射線治療担当技師がカンファレンスや往診の同行で病棟に一緒に行くことで、技師の緩和ケアの臨床に対する理解が深まった。患者の状態を把握しやすくなったことから、病棟から治療計画CT撮影、放射線治療までの患者移動がスムーズに行えるようになった。

緩和ケア病棟の看護師とのコミュニケーションも活発になり、治療を担当した患者のフィードバックを受けることで、放射線治療担当技師としても自分たちの仕事が実際に患者に貢献できていることが実感でき、モチベーションが上がった(仕事が少し楽しくなった)。

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