緩和的放射線治療普及のための好事例集
事例01
骨転移診療チームの活用
背景
骨転移診療において、主科(原発臓器の診療科)では
① 介入の必要性の有無
② どの診療科に相談するべきか
の判断が難しい。
着眼点
骨転移診療に関わる複数の診療科で、窓口を一本化することができないか?
骨転移診療チーム(骨転移キャンサーボード)を立ち上げた
ここがポイント
- 窓口を一本化して対応をシンプルに
- 複数診療科で協議して方針を提案
- 病院に合わせて柔軟な運用を
解説
骨転移診療チーム(骨転移キャンサーボード、骨転移ボードなど様々な呼称あり)を立ち上げることにより、窓口を一本化できるメリットがある。病院によってそのメンバーや運用方法に違いがあり、施設に合わせた持続可能な運用方法をよく検討することが大切。
導入事例
事例①
骨転移診療依頼システムを導入。整形外科、放射線治療科、放射線診断・IVR科、緩和医療科の4科に同時に診療依頼が可能。以下に該当する骨転移患者では骨転移診療依頼を推奨するようにお知らせを配布。
- 症状(疼痛、歩行障害などの神経障害)を伴う場合
- 脊髄圧迫・脊柱管内進展を伴う場合
- 脊椎・骨盤骨・下肢の溶骨性変化を伴う場合
事例②
骨転移キャンサーボードに放射線診断医にも積極的に参加してもらい、症状の有無に関わらず腫瘍が脊髄に近接している症例や長管骨の転移症例をキャンサーボードの対象として取り上げ、その所見の重要性(治療対応の必要性)を放射線診断医に理解してもらう。同時に整形外科で骨転移外来を開設してもらい、主治医からの依頼のほか、放射線診断業務の中での要検討症例を適宜相談。
事例③
緩和ケア科(緩和ケア内科医とがん性疼痛看護認定看護師)を中心に、放射線治療科と整形外科の3診療科で週に1回、骨転移ボードを開催。骨転移症例の主科が骨転移ボードにコンサルトする形式。主治医によるプレゼンテーションに対して、3診療科が協議して主治医へ回答することで、迅速な治療方針の決定が可能。また、緩和ケア科との連携により骨転移以外の緩和症例の拾い上げも可能。
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
- 事例09 電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
- 事例10 病院初診予約情報からの拾い上げ
- 事例11 放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携
- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用