緩和的放射線治療普及のための好事例集
事例18
整形外科を介した地域医療機関からの紹介
背景
地方の大学病院。放射線治療科の関連施設が少なく、地域の病院からの骨転移症例の症例拾い上げが難しい。また放射線治療科の入院病床も少なく、入院対応が難しい。
着眼点
整形外科医局は市内のみならず、遠方の放射線治療装置がない市町村の病院にも常勤医・非常勤医師を派遣している。入院対応も可能なため、うまく連携できない?
地域医療機関の整形外科医から、大学病院に骨転移症例を紹介してもらう
ここがポイント
- 整形外科の勉強会で骨転移や骨腫瘍は大学へ紹介するよう講演
- 入院可能で、外科的な対応も可能
解説
地方の大学病院(地域がん診療拠点病院)の放射線治療科で関連病院は1施設のみ。このため他院からの症例拾い上げは難しい。
一方で、整形外科医局は市内のみならず、遠方の放射線治療設備がない市町村の病院にも、常勤医師、非常勤医師を派遣しており、大学では入院対応も可能なため、うまく連携できるように検討した。
主に腫瘍を担当している大学病院の整形外科医師に、整形外科関連の勉強会や研究会で、骨転移や骨腫瘍が疑われる場合には大学病院へ紹介するように講演していただくことで、地域医療機関から骨転移の相談や紹介が増加。
地方のため患者はかなり遠方から来院されることもあり、単回照射でも入院が必要となることも多い。放射線治療科には入院病床が1床しかなく、入院が必要な症例では対応が困難であったが、入院病床数の多い整形外科が協力してくれることで入院対応可能になった。また髄内釘などの外科的処置が必要な場合もあり、そのようなときも早急な対応が可能である。緩和照射終了後は、地域の医療機関に戻っていただき治療継続していただく。その場合も地域の整形外科常勤医や出張医に診察を依頼し、安静度の拡大の指示や再度の放射線治療が必要な場合の紹介をお願いしている。このように、整形外科医局の協力が得られるようになり、以上のような良い連携が取れるようになった。
院内連携
骨転移診療チーム
緩和ケアチーム
画像診断部門
多職種・その他
- 事例09 電子カルテを利用した骨転移簡易コンサルト
- 事例10 病院初診予約情報からの拾い上げ
- 事例11 放射線治療担当技師を通した緩和ケア科連携
- 事例12 外来化学療法センター薬剤師・看護師との連携
- 事例13 治療室を超えた認定看護師の活用