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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

JASTRO Japanese Society for Radiation Oncology

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放射線治療装置に関する品質保証リストについて

2024年11月吉日
JASTRO QA委員会

日本放射線腫瘍学会は、放射線治療における治療精度と安全性をさらに強化し、患者に最善の治療を提供するために「放射線治療装置の品質保証リスト」を作成しました。このリストは、国内外の最新のガイドラインを集約、整理したものです。日本における放射線治療の現状に合わせて作成いたしましたが、その背景にはいくつかの重要な理由が挙げられます。

第一に、放射線治療装置は極めて高精度な操作が求められる医療機器であり、正常な機能を維持するためには定期的な点検や保守が欠かせません。この品質保証リストは、こうした装置の安全な運用を支える一助として位置づけたものであり、機器の性能維持と完全性の確保につなげるツールとして活用いただければと考えます。特に、治療に伴う線量や位置のずれを最小限に抑えるために、各機器の点検項目や頻度を詳細に記しております。本リストを徹底した管理に役立てていただけますことを期待します。

また、医療現場における効率化も重要な目的の一つです。現代の医療環境では、医療従事者の作業効率を高めることが求められていますが、本品質保証リストの導入により点検作業が標準化されることで、その実現がより容易になればと考えます。点検業務が明確に体系化され、同じ基準に基づいた作業が可能となることで、作業者の負担が軽減されるとともに、点検の精度がより安定化されることを期待します。ひいては、効率化によって生まれた時間やリソースが患者対応や治療計画などに充てられ、また、医療現場全体の働き方改革にも貢献できれば幸いです。

さらに、作業の透明性を高めることも、このリストの重要な意義と考えます。リストには、定期的に確認すべき項目や点検頻度、使用する機器、所要時間などを明確に記載しました。これにより、点検作業の全体像が見える化され、業務の進捗や確認項目の把握が容易になります。また、万一異常が発生した際にも、いつ、どの項目に問題があったのかを迅速に特定できるため、医療事故の防止や早期対応につながるものと考えます。結果として、放射線治療装置の信頼性がさらに向上し、患者や医療従事者双方にとって安心して治療を行える環境を整える一助になることを期待します。

この品質保証リストが、単なる点検シートにとどまらず、放射線治療における安全性と効率性の基盤を支える重要なツールとして、今後の医療現場で広く活用いただけますことを願っております。

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