医学放射線物理連絡協議会よりの緊急勧告
国立弘前病院では長期間に多数の患者の過照射事故が報告されている。医学放射線物理連絡協議会に設けられた事故調査団を中心に事故原因を究明中であるが、その大きな原因の一つに放射線治療担当医師と放射線治療担当技師の線量評価の違いがあると考えられる。
すなわち、線量評価にはICRUレポ-ト50で示された方法*が一般的であるが、中にはglobal maximum pointを認定してその線量値を基準(100%)として領域線量を表示する方法(%領域、あるいはglobal maximum doseとして示す方法)なども使用されている場合がありうる。
ICRUレポ-ト50で示された方法以外は特殊な方法であり、上記のような特殊な方法で指示する場合でもICRUレポ-ト50に示されているように、ICRU Reference Point の線量等の記録をしなければならない。
各放射線治療施設においては、現行の線量評価や指示方法についてスタッフ間で互いに再確認し、パラメータ設定や線量計算など照射までの各過程においてダブルチェックを励行するなどして、事故防止に努めなければならない。
平成15年11月
医学放射線物理連絡協議会
* ICRU Reference Pointの線量により表示する方法である。
詳しくは、“ICRU Report 50 Prescribing, Recording, and Reporting Photon Beam Therapy”, ICRU, Washington D.C.(1993)を参照のこと。
また、ICRU Reference Pointについては、日本放射線技術学会編「放射線治療における誤照射事故防止指針」(2003)に記載がある。
次ページ以下の付図も同書より許可を得て転載したものである。