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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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最近の話題に対するJASTRO理事会の見解を掲載しました。

最近の話題に対するJASTRO理事会の見解

2007年11月20日

日本放射線腫瘍学会会長 早渕尚文
総務理事 晴山雅人

  1. がん診療連携拠点病院について
     がん診療連携拠点病院のうち放射線治療ができない施設が約1割ある点にJASTROとしても非常に危惧しており、様々な形で関係省庁と折衝して参りました。この結果、関係省庁も非公式見解ながら、放射線治療ができない施設は、拠点病院には望ましくないとの考えを示しております。当面は、放射線治療が行えない拠点病院について、JASTROの協力を求められており、JASTROとしても協力を表明してきました。 また、連携病院なので放射線治療ができない病院においても放射線治療施設の集中化によって対処できるよう議論を行っております。

  2. 中医協診療報酬小委発表について
    中医協診療報酬小委で放射線治療について論議され、先月その内容が発表されました。内容の多くはJASTROの主張に沿ったものとなっております。外来治療については初めてお聞きになって驚かれたと思いますが、JASTRO健保委員会で幾つかの施設からデータをいただき検討し、厚生労働省と話し合ってきております。 外来治療加算が認められても入院治療患者の診療報酬の削減は全く議題になっておりません。これにより外来放射線治療を行うための患者待合室などの整備がより容易になるのではないかと考えております。また、今年度のがん診療連携拠点病院に対する放射線治療機2.8億円の半額である1.4億円の補助につきましても、昨年JASTROが提供した資料に基づいて出された施策と考えております。

  3. 日本がん治療認定医機構について
    日本がん治療認定医機構とJASTROとは全く異なる組織です。「がん治療認定医」に関する情報についてJASTROホームページを通じ会員に提供を行ってきました。「がん治療認定医」を取得するとどのようなメリットがあるのかも未だ明らかではありません。JASTRO理事会としては最終的には会員個々が判断する問題と考えております。
    日本がん治療認定医機構の中に責任ある立場で参画できないことは非常に残念なことです。この組織の構成は政治的に決定され、全癌協が突然加わり4団体で活動を開始いたしました。何度か伺いましたが、他の団体を新たな理事などに加えたならば収捨がつかなくなるのでもう少し待ってもらいたいとの事でした。先月10月のがん治療学会の専門医制度のパネルデスカッションでもJASTROとしての意見を述べております。タイミングを計って対処したいと考えております。
    将来的にはJASTRO専門医(認定医)は自動的に「がん治療認定医」として認定してもらう方向で進めるべきと考えております。そのためには教育カリキュラムの充実が必要です。現在のカリキュラムで欠落しているのは,疫学,腫瘍生物学,病理学など基礎腫瘍学,臨床統計など臨床試験に関わるもの,倫理に関するものが挙げられます。早急に婦人科腫瘍学会のカリキュラムを参考に検討したいと考えております。しかしながら、JASTROのセミナーや学術大会の貴重な時間を、 がん治療認定医機構のカリキュラムに合わせる必要があるのかとの疑問や、「がん治療認定医」になりたい者は がん治療認定医機構のセミナーを受講すれば良いのではないかとの意見もあります。いずれにしても早急に対応するべく教育委員会で検討しているところです。

  4. 新しい機器に対する放射線治療専門医以外の医師の関わりについて
    他科医師による新しい放射線機器の使用に対するご批判は会員の多くに在ります。JASTRO会員として思いは同じであると思います。γナイフが導入された時も同様な意見が多かったと思います。しかし、先輩諸兄は日本定位放射線治療学会に積極的に関わり、脳外科医の考え方を大きく変えてきたと考えております。最近の新しい機器を導入する施設ではJASTRO会員や認定医が勤務している施設が、以前よりも多くなってきております。そうでない場合でも、何らかの形でJASTRO会員が関与している割合が多くなっています。非難声明などを出すことは容易ですが、それよりも各々の施設の事情にあわせて勧告等を行った方がより実効性があるのではないかと考えております。勧告するべき施設名をお教えいただければJASTRO理事会として対処いたします。

  5. 有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療について
    JASTRO医療安全委員会においてマニュアルを検討して参りました。11月10日に日本アイソト-プ協会、日本医学放射線学会、日本核医学会、日本放射線腫瘍学会、日本緩和医療学会の共催で「第1回 有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療安全取扱講習会」が開催されました。同講習会は、上記学会により作成された「適正使用マニュアル」に従って開催されるもので、有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療の開始予定施設からは、少なくとも一人以上の受講が求められております。本マニュアル中に「本薬の投与は診療用放射性同位元素使用室で行い、放射性同位元素の安全使用及び放射性同位元素に関して、十分な知識を有する医師が行うこと」、また外照射の適応も記載されており、放射線科医の主導で行われる治療であることをご理解ください。

  6. 日医放専門医とJASTRO認定医の統合について
    日本医学放射線学会認定放射線科治療専門医と日本放射線腫瘍学会認定医の統合に関する覚え書きをホームページに掲載しております。行政ならびに患者さんから2制度の整合性を図り資格を統一してもらいたいとの強い要望あり、両学会理事会の合意のもとアドホック委員会で検討してきました。詳細につきましては今後、両学会で早急に検討し、会員の皆様のご意見を伺いたいと思います。

  7. 日本放射線腫瘍学会としての文部科学大臣への要望書について
    一部の新聞で報道されましたが、平成19年11月6日に渡海文部科学大臣へ「放射線治療の人材育成要求」に関する学会要望書をお渡しいたしました。放射線腫瘍医を増加させるために放射線腫瘍学講座の独立と医学物理士の養成と雇用促進に関する要望です。大臣からは「重要な課題であると認識している。放射線治療の普及と人材の育成に前向きに取り組みたい」との回答を得ております。

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