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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

JASTRO Japanese Society for Radiation Oncology

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JASTRO組織のあり方についての報告を掲載しました。

JASTRO組織のあり方について

2005年12月01日

平成17年11月23日
JASTRO組織のあり方検討委員会

はじめに

平成16年11月20日に就任した土器屋卓志会長は一年の任期中に是非とも遣り遂げたい課題として“JASTRO組織のあり方の検討”を表明した。その背景に在ったのは、1989年の学会創設以来、会員数の着実な増加と新技術の進展とにあいまって、癌治療における放射線治療の地位が著しく向上している状況に対応するのに、現在の任意団体の儘で良いのか、また現行の役員制度で十分なのかとする問題意識である。会長のこうした意思表明を受けた理事会は、 JASTRO組織のあり方を検討するad hoc委員会、JASTRO組織のあり方検討委員会、を組織し下記課題の検討を諮問した。委員会は検討結果を7月16日開催の代議員集会において報告し、集会ではその報告に基づいて議論が行われた。本報告は、代議員集会での議論をも集約し纏めた最終報告である。

会長および理事会の諮問した課題

次の2課題についての検討が諮問された。

  1. 学会の法人化について
  2. 理事長制の創設を含む役員体制、特に現行の会長制度の見直しについて

委員会における検討

1.学会の法人化について

 先ず学会法人化の現状を資料1で見ると、我々の身近な学会である日本医学放射線学会が社団法人であるように、古くからの学会組織は法人である。しかし、日本癌学会、日本癌治療学会のように法人ではない任意団体のままの学会も非常に多い。むしろ大半は任意団体である。
 法とは本来、人(自然人)の社会生活における規範として発生したが、社会の発展・高度化に伴い生まれた人や財の集合、それらを運営する組織が社会的活動をするに及んで、行動の社会的規範を与えるために人同様に法律上の人格を付与し、「権利能力」の主体となり得る様にしたものが法人である。資料2に示すように法人は公益および営利の有無で4群に分けられる。学会組織の多くがそうである社団法人は非営利の公益法人の一つである。昨今、設立の多い(本年 1月末で2万件を超える)NPO法人も同様に非営利の公益法人である。JASTROのような学会組織に最も相応しい形態が社団法人であることは自明である。そこで、現在の任意団体と社団法人になった場合の比較を一問一答形式で資料2に示す。社団法人化は社会的認知度の向上や営利を目的としない収益活動が可能になる点、また将来の放射線腫瘍医の標榜資格を得る上で不可欠な点など、その利益は大きいと考えられる。法人化によって必要とされる費用の増加は、日本医学放射線学会の資料を参考にすれば負担可能な範囲と推測される。JASTROは主務官庁である文部科学省が定める設立許可基準、「正会員数1000人以上」「基本資産2000万円以上」も達成しており、この比較で見る限り社団法人になる資格は十分と考えられる。
 しかし、何故多くの学会が社団法人化を希望し、活動してきたにも関わらず実現していないか? 最も大きな理由は主務官庁である文部科学省が毎年の認可を 1?2件程度に止めており、この枠に入ることが極めて困難であるためと推測される。また、医学では分野の重複した学会が複数存在し、「当該分野唯一の学会である」と明確に言い難い例も在るようである。この点は、JASTROが社団法人化を目指す場合に日本医学放射線学会との関係で大きな障害になると思われる。本来のあり方においては社団法人が理想であるが、現状では社団法人化を具体的な行動目標にするのは現実的ではないと考えられる。ただ、将来の放射線腫瘍医の標榜を見据えた場合、JASTROを何らかの法人組織にしておくことは必要である。資料1では、前身の学会も含めて歴史の長い学会は社団法人となり、領域の重複する専門化した学会は特定非営利活動法人(NPO法人)あるいは有限責任中間法人を選択している。
 NPO法人は法律制定の経緯から分かるように公益性と非営利性が前面に出た組織形態である。一方、中間法人は正に中間であって、社員(会員)に共通する利益を図ることを目的(非公益目的)とし、かつ、非営利目的の社団であって中間法人法により設立されるものである。資料3に特定非営利活動法人(NPO法人)の設立の要件、メリット、デメリットを示すが、設立は社団法人と比較すると至って簡単である。NPO法人の場合、法人法第二条 一 イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないことが在ることから何人の入会申し込みも拒否できないとの意見もあるが、ある特定の目的を持った社団である以上、合理的、客観的に妥当と考えられる条件をつけるのは可能で、不当な条件が禁止されているだけである。実際、NPO法人化した学会の定款を見ると、正会員には特に条件を付けている。
 法人形態の選択に関して勘案すべき重要な事情として、公益法人制度を巡る昨年来の動きがある。政府は昨年12月24日の閣議で、現行の公益法人制度の抜本的見直しを行い「一般的な非営利法人制度」を創設すること、および、所要の法律案の、平成18 年通常国会への提出を目指す決定をした。この見直しでは、NPO法人制度は存置される一方、現在の中間法人法による中間法人制度は廃止することが決められている。このような情勢と両者の本来的性格の相違を勘案すると、現在、直ちに継続性のある法人化を行うのであればNPO法人を選択するのが妥当との結論になる。ただ、実際の対応としては、今年中あるいは来年の早い時期に出てくるであろう「一般的な非営利法人制度」を創設する法律案を見て、新たな非営利法人制度による法人か、NPO法人の何れかを選択するのが賢明と考える。

2.理事長制の創設を含む役員体制、特に現行の会長制度の見直しについて

 平成15年11月の総会において定款および施行細則を改訂し、理事、監事、代議員の定年制の導入、再任の制限、理事および監事選挙における立候補制の導入等を行った。役員制度は、経験の確実な継承と系統的若返りを同時に保障するものが望ましいが、この改訂では当時の情勢から系統的若返りを重視するものとなった。一方、学会の代表者であると同時に学術大会長でもある現行の会長制度については見直しを行わなかった。学会実務の総責任者である総務理事と会長との関係についても旧定款の立場を踏襲した。
 学術大会の開催は言うまでも無く学会活動の中で最も重要なるものであり、その成功に向けた大会長の任務と責任は極めて重い。然るに、学会代表者の会長として、方や大会長として両者の任務を全うすることが非常な負担であることは想像に難くない。
委員会では種々検討の結果、学会代表者(理事長あるいは会長)と学術大会長を分離した役員体制にすることが望ましく、付随して学会代表者の選出方法等を以下に述べるごとく改めるべきとの結論に達した。
 以下、結論の骨子を記す。

  1. 学会代表者は理事長(会長)とする。
  2. 学術大会の開催責任者は大会長と称とする。
  3. 理事長(会長)は、投票で選ばれた理事および理事経験者で理事長(会長)選挙に立候補した者の中から代議員が投票で選ぶ。
  4. 理事から理事長(会長)が選ばれた場合は、理事選挙における次点者を繰り上げ当選とする。
  5. 理事長(会長)の任期は理事と同じく一期2年とし、再任を妨げないが通算6年とする。
  6. 大会長および次期大会長は理事となる。


3.その他

  代議員集会において提起された主要な意見を以下に記す。

  1. 会長の選任手続きが、定款あるいは定款施行細則において明確にされていないので、これを明記すべきである。
  2. 退任した理事等、役員経験者に退任以降も学会運営に貢献できる仕組みを創設する必要があるのではないか。
  3. 特に法人化後は、法律上の、あるいは経理上の相談に資する弁護士、会計士などを選任する必要がある。

 これらは、全て尤もなものであり、実施可能な事項については速やかな対応が望まれる。

4.法人化へ向けての準備について

 平成17年11月の代議員会、総会においては7月の代議員集会で概ねの合意を得た方向性の承認を受け、法人化準備委員会を立ち上げ、準備作業を開始する必要がある。ただ、法人の形態については、新しい法律案を見ての選択となるので、準備委員会での検討に基づいて理事会で決定するのが準備日程の上でも望ましいと考える。
以上、JASTRO組織のあり方に関する検討結果を報告した。

JASTRO組織のあり方検討委員会

委員長 小野公二
委 員 三橋紀夫
委 員 山田章吾
委 員 永田 靖
委 員 白土博樹
委 員 唐沢克之

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