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No.123
Swedish Rectal Cancer Trial : 放射線治療での生存率や局所再発率への長期寄与

Swedish Rectal Cancer Trial : Long Lasting Benefits From Radiotherapy on Survival and Local Recurrence Rate.

J Clin Oncol 23:5644-5650, 2005

目的

術前放射線治療を施行し根治的な手術を行った直腸癌の患者の生存と再発率への影響の長期の成績を評価した。

患者・方法

1987年から1990年までに1168例がSwedish Rectal Cancer Trialに登録された。908例に根治的手術が施行され、そのうち454例が手術単独、454例に術前照射(25Gy/5日)を施行し照射後1週間以内に手術が行われた。

結果

観察期間中央値は13年(3年から15年)。全生存率は、術前照射群で38%、非照射群で30%だった。(P=0.008)原病生存率は、照射群で72%、非照射群で62%だった。(P=0.03)

局所再発率は、照射群で9%、非照射群で26%だった。(P<0.001)局所再発率の減少は、肛門縁から10cm以上の群では統計的な有意差は認めなかったが、すべての腫瘍の高さで認められた。

結論

長期の経過観察期間で直腸癌に対して25Gy/5Fr の術前照射を施行した後に根治的手術を施行することは全生存期間、原病生存期間、局所再発率に有益である。

コメント

2005年と少し古い論文ですが、直腸癌術前照射で生存率への優位差を認めた初めてのRCTの長期観察後の報告であるため今回取り上げてみました。

観察期間中央値で13年とかなり長期で経過観察を行った後でも、全生存率、原病生存率、局所再発率に優位差を認めたと報告しています。

また2006年のASCOで同様の治療内容のMRC CR06 trialのpreliminaryな結果が報告されました。1350例を25Gy/5Frの術前照射後TMEを施行する群とTME後に45Gy/25Frの術後化学放射線治療を施行する群に分けたstudyで、3年の局所再発率、原病生存率ともに優位に術前照射群が勝っていたとのことでした。

これら2つのstudyの結果からも、進行直腸癌において術前照射が有益であることはもはや否定できないのではと考えます。

化学療法の併用に関しては、2006年に報告されたPolish Trialでは、本試験と同じ短期照射単独と通常の分割照射での化学放射線療法とを比較しており局所制御や生存への優位性は認められませんでした。同様に2006年に相次いで報告されたEORTC 22921とFFCD 9203でも、化学放射線治療は放射線単独と比べ生存に優位性はないとの結論になってしまいました。

しかし最近当科で施行している術前化学放射線治療症例においてcCR/pCRとなり肛門温存される症例を日常的に見ていると、生存率以外にQOLの観点からも考察や評価することも非常に重要と考えています。このような症例を積み重ねることによって外科の先生の放射線治療への信頼を得ていくのだなと実感しています。


(原島 浩一)

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