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No.129
局所進行頭頸部癌に対する同時併用化学放射線療法(RTOG)の重篤な晩期有害事象に関連する因子の検討

Factors Associated With Severe Late Toxicity After Concurrent Chemoradiation for Locally Advanced Head and Neck Cancer: An RTOG Analysis.

Machtay M, Moughan J, Trotti A, et al.
J Clin Oncol 26(21):3582-3589, 2008

目的

頭頸部扁平上皮癌に対する同時併用化学放射線療法は、局所制御と有害事象の双方を増加させる。
晩期有害事象に関連する臨床的因子を明らかにするための解析を行った。

方法

すでに終了している局所進行頭頸部扁平上皮癌に対するRadiation Therapy Oncology Group(RTOG)の3つの研究(RTOG 91-11、97-03、99-14)からデータを解析した。重篤な晩期有害事象とは、3から4度の慢性の咽頭/喉頭の有害事象(RTOG/EORTC基準)、2年以上の経管栄養、肺炎などによる3年以内の治療関連死と定義した。
治療前と治療因子の多変量解析を含む症例対照分析を施行した。

結果

症例数479例から局所再発例などを除外した、99例の有害事象例と131例のコントロールによる230例について解析した。
重篤な有害事象の率は99/230で43%であり、かなり高率であった。多変量解析の結果では、高齢(オッズ比 1.05/年; P =0.001)、進行したT病期(オッズ比, 3.07; P =0.0036)、喉頭/下咽頭(オッズ比, 4.17; P =0.0041)、CRT後の頸部郭清(オッズ比,2.39; P =0.018)が有意な因子であった。

結論

これらのCCRT後の重篤な晩期有害事象の頻度は高かった。高齢、進行したT病期、喉頭/下咽頭は独立した危険因子であった。また、CRT後の頸部郭清はこれらの有害事象の増加に関わっていた。

コメント

43%という非常に高い重篤な有害事象率に驚きました。RTOG 91-11は70GyとCDDP 100mg/m2、RTOG 97-03は70Gyと(1)5FU、(2)CDDP+PAL、(3)5FU+HU、RTOG 99-14 72Gy/6週とCDDP 100mg/m2と照射量も化学療法の内容もかなり強力です。因子分析より前に、ここまで強力な治療はやってはいけないということだと理解しました。同時併用化学放射線療法のレジメを考える際にはご留意いただくべき事項と思います。


(唐澤 久美子)

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