No.41
放射線治療における診療報酬と医学物理士の業務貢献との関係
Reimbursement versus effort in medical physics practice in radiation oncology
Michael T. Herman, et al.
Applied Clinical Medical Physics 4(2):179-187, 2003
診療報酬の支払額は、診療において質の高い医学物理士の業務が得られるかどうかに影響する可能性がある。AAPMとACMPは、Special Medical Physics Consultation:CPT4-77370とContinuing Medical Physics: CPT4-77336に対応する、項目ごとの業務に必要な実働時間の調査を2001年に行った。背景には、医学物理士の業務に対する貢献が、現在の診療報酬支払制度では明確に関係付けられ、補償されていないことがある。特にHospital Outpatient Prospective Payment System (HOPPS)の制度では、支払額は患者に提供されたコストをもとに算出されるので、医学物理士が提供する業務のコストとそのサービスの価値を明確にする必要がある。
CPT4-77336の業務は、医師により処方された治療が確実に実行されているか、5日間の治療を終了するたびに、(1)Reviewing the patient case in the initialpresentation、(2)Performing weekly chart check、(3)Reviewing charts withother members、(4)Viewing patient positioning and machine setup、(5)Researching treatment scheme、(6)Performing the final chart checkと全ての記録の監査を実行することである。この監査に必要な時間は1年間で800名の患者を治療している施設では1週に13時間で、この監査の準備、報告に必要な時間が6時間である。認定医学物理士(QMP)は1年間で988時間を費やしている。
CPT4-77370の業務では、具体的な17種類の治療術式についてQMPが関わる時間を記述している。例えば、(1)Total body irradiationでは、a)治療時に5.03時間、b)initial commissioningに70.00時間、c)ongoing effortに21.10時間、QMPが関わっている。(2)Prostate implantsでは、a)6.76時間、b)70.88時間、c)41.79時間。(3)Stereotactic Radiosurgeryでは、a)6.68時間、b)110.00時間、c)46.30時間。(4)Pacemaker treatmentでは、a)1.82時間、b)26.58時間、c)8.30時間。(5)IMRTでは、a)12.03時間、b)302.50時間、c)133.00時間。
QA/QCは放射線治療の重要課題であるが、JASTROとしても放射線治療に関わるQA/QC業務の位置づけと、必要な時間の根拠を策定する時期に来ているのではないか。
(芦野 靖夫)