No.44
骨軟部肉腫に対する炭素イオン線治療
Efficacy and safety of carbon ion radiotherapy in bone and soft tissue sarcomas
Kamada T, et al.
J Clin Oncol 20:4466-4471, 2002
重粒子線治療は、良好な線量分布と高LET放射線という2点で、難治性腫瘍の治療に有望であると考えられる。重粒子線の一つである炭素イオン線を用いて、骨軟部肉腫に対する至適線量を求める臨床第I/II相試験を行い、その毒性と効果を評価した。
対象は、切除不能骨軟部腫瘍57例(64部位)で、うち脊椎または傍脊椎の軟部が19例、骨盤部が32例、四肢が6例であった。
腫瘍容積の中央値は559cm3(20-2290cm3であった。炭素イオン線治療は、4週間16分割で1回線量を3.3GyEから4.6GyEまで(総線量を52.8GyEから73.6GyEまで)、10%ずつ(最後のみ5%)増加させて行った。経過観察期間は18ヶ月以上であった。
73.6GyE 照射群の17例中7例に、RTOGのgrade 3の皮膚の急性反応が認められ、線量増加はこのレベルで終了した。他にはgrade 3以上の急性反応はみられなかった。全症例の1および3年局所制御率は、それぞれ88%および73%であった。生存期間の中央値は31ヶ月(2-60ヶ月)で、1および3年生存率はそれぞれ82%および46%であった。
この第I/II相試験から炭素イオン線治療は、切除不能の骨軟部腫瘍に対して安全かつ有効な治療法である可能性が示唆された。
最大推奨線量としては、皮膚が問題となる場合には70.4GyE、それ以外の場合には73.6GyEであることが明らかとなり、現在第II相試験が進行中である。
(加藤 真吾)