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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.45
喉頭癌患者の二次癌:人口に基づく研究

Second primary cancers in patients with laryngeal cancer: A population-based study

GAO X, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys 56:427-435, 2003

背景

喉頭癌罹患後、二次癌発症の部位特異性については、文献的にまだ十分な検討が行われていない。またそのリスクファクターについても、未だ解明されていないのが現状である。

方法

SEERデータベース(1973-1996)上で、喉頭癌の後、二次癌が発症する頻度、一般人口と比較した相対危険率、リスクファクターについて放射線治療歴を含めて解析した。なお、化学療法と喫煙に関する情報はSEERデータベースでは利用できなかった。

結果

3ヵ月以上生存した20,074人の喉頭癌患者のうち、3533人(17.6%)に二次癌の発症が認められた。二次癌の累積発症率は、10年で26%、20年で47%であった。年齢、性別、腫瘍特異性を一般人口と比較すると、喉頭癌患者の二次癌発症率(O/E)は、癌全体で1.68(95%の信頼限界で1.58-1.79)であり、頭頸部癌で4.81、食道癌で3.99(3.29-4.83)、肺癌で3.56(3.34-3.79)であった。癌と診断された年齢は二次癌発症率(p=0.0001)に相関していた。放射線療法は二次癌の発症リスクを高め、癌全体で相対リスク(RR)は1.18(1.05-1.33、p=0.006)であり、特に肺癌で1.18(1.05-1.33)、頭頸部癌で1.26(0.99-1.60、p=0.61)であった。5年以上生存した患者においては、放射線療法は二次頭頸部癌の相対リスクを68%も高めるものであった(RR=1.68;1.16-2.43、p=0.007)。二次癌を発症した患者の生存率は低かった(p=0.001)。

結論

喉頭癌の後に二次癌が発症することはよく見られ、長期生存者の中には特に多い。放射線療法は二次癌全体の発症リスクと、二次頭頸部癌の発症リスクをわずかに高めるものであった。しかしながら、本研究で用いたSEERデータベースは、化学療法と喫煙に関する情報が加味されていないことを考慮して解釈する必要がある。しかし、なんと言っても防止と早期発見が大切である。


(小野 誠治)

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