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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

JASTRO Japanese Society for Radiation Oncology

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No.46
前立腺永久刺入小線源治療後の家族の被曝は?

Radiation exposure to family and househeld members after prostate brachytherapy.

Michalski J, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys 56:764-768, 2003

限局型前立腺癌の患者はしばしば手術か外部照射かの選択をしいられるが、永久刺入法による密封小線源治療も容認される治療法の一つである。しかし、家族への被曝の恐れがこの治療法を思いとどませることもある。前立腺の密封小線源治療を受けた患者から家族が日常生活の中でどのくらい被曝するか、家族の被曝線量を直接測定し評価した。

対象と方法

I-125またはPd-103による永久刺入密封小線源治療を受けた患者とその家族に、家庭における直接の放射線被曝を測定するために線量計を支給した。患者には2台、奥さん、子供、ペットなどの家族には1台ずつ装着し、測定した。また、患者がよく使用する4ケ所の室内も測定した。44人の患者とその家族が線量計を装着するのに同意した。使用した線源はI-125が29人、Pd-103が15人であった。272台の線量計を分析した。

結果

奥さんの被曝はI-125では平均0.1mSv(0.04-0.55)であり、Pd-103では平均0.02mSv(0.015-0.074)であった。その他の家族の被曝はI-125では平均0.07mSv(0.04-0.32)であり、Pd-103では平均0.02mSv(0.015-0.044)であった。これは米国原子力規制委員会(NRC)で制限されている年度基準以下である。室内での測定はほとんどが検出不能であった。

まとめ

I-125またはPd-103による前立腺への永久刺入密封小線源治療を受けた患者とその家族の被曝線量は非常に低く、NRCで制限されている基準以下である。患者および家族、または公衆への放射線被曝の心配が本治療法を制止するべきものではない。


(喜多 みどり)

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