No.51
小児脳腫瘍患者における放射線治療前の内分泌障害について
Preirradiation endocrinopathies in pediatric brain tumor patients determined by dynamic tests of endocrine function.
Merchant TE, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 54:45-50, 2002
小児の原発性脳腫瘍患者における放射線治療前の内分泌障害についてのprospectivestudyである。ependymoma 35名、 WHO Grade1-2 astrocytoma 18名、WHO Grade3-4 astrocytoma 10名、craniopharyngioma 7名を含む75名(男性38名、女性37名)の小児脳腫瘍患者に様々な内分泌機能のテストを施行した。その結果、最終的に評価対象となった68名のうち45名(66%)に放射線治療前から内分泌障害があった。また、評価対象68名のうち32名が後頭蓋窩原発であり、うち15名(47%)に放射線治療前から内分泌障害があった。治療前から内分泌障害のあった45名のうち38%に成長ホルモン欠乏、43%にTSH分泌異常、22%にACTHに関する異常があった。
結論として、小児の脳腫瘍患者は、視床下部-下垂体系以外の部位の腫瘍を含め、放射線治療前から高率に内分泌障害を合併しており、従来radiation-inducedの内分泌障害が過剰評価されてきた可能性があるとしている。本論文は、放射線治療後の内分泌障害が、放射線治療だけによるものではない可能性を示したprospective studyとして意義があるものと思われる。
(栗林 徹)