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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.190
早期ホジキンリンパ腫に対する併用療法:治療効果を維持しながらの合併症の最小化

Combined-Modality Therapy for Early-Stage Hodgkin Lymphoma: Maintaining High Cure Rates While Minimizing Risks

Kelsey CR, Beaven AW, Diehl LF, Prosnitz LR.

Oncology 2012 Dec, 26(12): 1182-1189

早期ホジキンリンパ腫に対する治療のレビュー

  • 早期ホジキンリンパ腫(HL)に対する放射線治療は古くから確立した(Peters MV,1950)。
  • その後、高頻度の放射線誘発癌が報告されるようになったので化学療法単独治療も試みられた。
  • しかし複数の臨床試験で化学療法単独より放射線治療を加えたほうが無増悪生存率が向上した(Meyer RM, 2012, Wolden SL, 2012, etc)。
  • その過程から、化学療法の併用により照射範囲と放射線量を減少できることが判明した。
  • 照射野は(A)involved field(B)involved site(C)involved node へと縮小されてきたが現在はまだ(A)(B)が一般的である。
  • 早期 HL のうち favorable group には2cycles のABVD(4cycles でなく)と放射線治療 20Gy(30Gy でなく)で十分といえる(Engert A, 2010)。
  • unfavorable の場合 4cycles のABVDと放射線治療 30Gy が推奨される(Eich HT,2010)。他に BEACOPP + 20Gy や ABVD(6cycles)+ 20Gy も有望である(Elconin JH, 2000)
  • このレベルまでの線量低下は非常に重要である。それによる誘発癌の低下(38Gy→26Gy により 16%→ 0%: Koontz BF, 2006)と心合併症の低下(36Gy→20Gy により21%→ 3%: Schellong G, 2010)が示されている。
  • 今後も、より長期の経過観察、PET による階層化、抗CD-30抗体の併用、などにより最適な治療の探求が続く。

コメント

「放射線治療計画ガイドライン・2012」からは、ついに STNI(subtotal lymphoid irradiation)の図示がなくなってしまった。「そでなし外套」を着た大學生や英国風紳士を見かけなくなったように、「マントル照射」も急速に過去へ遠ざかっている。

標準治療は合併症の観点からも常に見直されるべきであるが、ホジキンリンパ腫はその典型といえる。放射線誘発癌に関しても確固たる証拠と線量効果関係を示した歴史に敬意を表する。

Evidence level -

PMID: 23413599

(近畿大奈良・岡嶋 馨)

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