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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.77
局所進行非小細胞肺癌に対するPaclitaxel及びCarboplatinによる化学放射線療法

A Randomized Phase II Locally Advenced Multi-Modality Protocol (LAMP study)

Belani CP, Choy H, Bonomi P, Scott C,
Travis P, Haluschak J, Curran WJ Jr.
J Clin Oncol. 23(25):5883-5891, 2005

目的

この第II相試験は、局所進行切除不能III期非小細胞肺癌に対するPaclitaxel(TAL)及びCarboplatin(CBDCA)と通常の放射線療法を用いた化学放射線療法の最適な同時及び前後の化学療法の併用法を決定するために行われた。生存率はこれまでのRTOGの化学放射線療法の結果と比較された。

対象と方法

局所進行切除不能のIIIA及びIIIB期非小細胞肺癌、KPS 70以下、体重減少10%以下の例が以下の3群に振り分けられた。
Arm 1(連続的);2コースの導入化学療法TAL 200 mg/m2/ CBDCA area under the plasma concentration time curve [AUC] = 6後に胸部照射63.0 Gy Arm 2(導入/同時);2コースの導入化学療法TAL 200 mg/m2/ CBDCA AUC=6後にTAL45 mg/m2/ CBDCA AUC = 2の毎週投与を併用して胸部照射63.0 Gy Arm 3(同時/地固め);TAL45 mg/m2/ CBDCA AUC = 2の毎週投与を併用して胸部照射63.0 施行後に2コースの地固め化学療法TAL 200 mg/m2/ CBDCA AUC=6 結果:1998年2月から2001年6月に276例が49施設から登録された。経過観察期間の中央値39.6ヶ月で、生存期間の中央値はArm 1:13.0ヶ月、Arm 2:12.7ヶ月、Arm 3:16.3ヶ月であった。1、2、3年生存率はArm 1:57%、30%、17%、Arm 2:53%、25%、15%、Arm 3:63%、31%、17%であり有意差はなく、またいずれもRTOG88-08と比較して有意差がなかった。導入化学療法の期間中に3/4度の好中球減少がArm 1:32%、Arm 2:38%に認められた。胸部照射の期間中から終了後の局所の最も問題となった3/4度の有害反応は食道炎で、同時併用化学療法により増強しArm 2:19%、Arm 3:28%であった。

結論

毎週同時併用のTAL/ CBDCAの胸部照射後に地固めのTAL/ CBDCACを施行する方法が最も生存率が良かったが、有害反応も強かった。

コメント

化学放射線療法のChoy先生でお馴染みのLAMP studyの結果です。胸部照射+同時併用化学療法後に地固め化学療法を行なうのが生存率は良いが、効果と耐用性のバランスに充分注意する必要があると結論付けていますが、有意差は全く認められていません。
新たな薬剤に期待すべきでしょうか。


(唐澤 久美子)

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