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No.260
婦人科癌に対するハイブリッド照射(組織内照射併用腔内照射)のJASTROコンセンサスガイドライン

Japanese Society for Radiation Oncology Consensus Guidelines of combined intracavitary and interstitial brachytherapy for gynecological cancers Naoya Murakami, et al.
J Radiat Res. 2022 May;63:402-411.

https://doi.org/10.1093/jrr/rrac011

子宮頸癌に対して小線源治療の代わりにIMRTやSBRTを用いたら生存率が下がるという報告がある(Gill, et al. Red J, 2014)。さりとて、定型的な腔内照射では線量分布的に腫瘍をカバーできないのに大丈夫か?と思う症例はある。本来なら組織内照射の適応かもしれないが、硬膜外麻酔とか針を刺したままベッド上で数日管理とか、自施設ではできないこともある。その間を取ってちょうどよいのが通称ハイブリッド照射(正式名は組織内照射併用腔内照射)である。腔内照射にたった1本の、あるいは数本の組織内照射針を刺すだけで、例えばハイリスクCTVのD90%が劇的に向上する。それでいて直腸D2ccなどの線量制約を満たせることが重要で、この両立が通常の腔内照射では不可能なのにハイブリッド照射では可能になる場合がある。筆者らはハイブリッド照射の多施設第I/II相臨床試験も実施中だが、一方で実臨床に広く用いられるべく、このコンセンサスガイドラインが作成された。是非ご一読いただき、明日からの腔内照射に価値ある1本の針を追加するだけで、患者さんの命を救える可能性があります。

(吉岡 靖生・がん研有明病院(編集委員会))

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