No.173
局所進行子宮頸癌に対する外照射併用IGBTの治療成績
Clinical outcome of protocol based image (MRI) guided adaptive brachytherapy combined with 3D conformal radiotherapy with or without chemotherapy in patients with locally advanced cervical cancer
Potter R, et al.
Radiother Oncol 2011;100:116-123.
背景
high-risk CTVを定義してリスク臓器の線量制約に従い小線源治療(IGBT)を行った主としてIB-IIIB子宮頚癌の治療成績についてPotter らが後方視的に解析。
方法
2001-2008年にウィーン大学で外部照射+IGBTにて根治的放射線治療を行った子宮頚癌156例(年齢中央値= 58歳、IB1:12(8%), IB2:9(6%), IIA:4(3%),IIB:88(56%), IIIA:5(3%), IIIB:32(21%), IVA:6(4%)、腫瘍径>5cmが66%)が対象。
62%で治療前に腹腔鏡によるLN評価と切除を施行。外照射45-50.4Gy(73%がCCRT,PAN照射有が24%)と高線量率腔内照射7Gy x 4回(44%で組織内照射針を追加)をMRIで定義したhigh-risk CTVに処方。小線源治療は自らのGEC ESTROの推奨に基づいて行いOARの線量制約が達成されればD90を最低85Gyに設定。IIAまでや腫瘍縮小の良好例でD90が95Gyを超えても特に線量を減じなかった。線量制約(D2cc)は直腸とS状結腸が75Gy, 膀胱が100Gy(後にそれぞれを70Gy, 90Gy)とした。CR率、骨盤制御率、無増悪生存率、全生存率などを病期、腫瘍径(2-5cm, >5 cm)で検討。経過観察42M。
結果
全体の平均D90は93Gyで, 腫瘍径2-5cmでは96Gy, >5cmでは91Gyであった。2003年までより2004年以降の方がD90は上昇していた。平均D2ccは直腸65Gy, S状結腸64Gy, 膀胱86Gyであった。全体のCR率は97%, 3年局所制御率は全体で95%、2-5cmで98%, >5cmで92%, IBで100%, IIBで96%, IIIBで86%であった。
3年原病生存率は全体で74%、2-5cmで83%, >5cmで70%, IBで83%, IIBで84%, IIIBで52%で、3年全生存率は全体で68%、2-5cmで72%, >5cmで65%, IBで74%, IIBで79%, IIIBで45%であった。晩期有害事象(LENT SOMA)はG1+2が118例、G3が7例、G4が4例であった。
考察
ウイーンでの過去のデータと比較すると、腫瘍径>5cmの腫瘍における骨盤制御率が絶対値で23-26%上昇し、局所再発が相対的に65%低下したことがこの良好な成績につながっているとしている。
また、腫瘍径>5cmの症例では良好な局所制御が原病生存率の多少のおそらくの向上(3yCCS: 1993-97; 57%, 1998-2000;40%,2001-2008;70%)につながっているが、2-5cmの腫瘍では生存率が以前のデータと変わらないとしている。
本研究の対象症例の中では、腫瘍径>5cmの103症例の中で局所再発が6/38(2001-2003年)から1/65(2004-2008年)に低下して理由としてD90が87Gyから93Gyに上昇したこと、組織内照射針を追加する症例が多くなったことを挙げている。
コメント
著者らは、より進行した症例ではCCRTによる上積みが少ないとのメタ解析をもとに、治療成績向上のためには小線源治療の進歩による貢献が大きい(はず)という旨を述べている。本文および表中の自施設の過去の成績は「併記」してあるのみで、特に比較しているわけではない。
また、単一施設の遡及的データであることの制限も記している。CTV, OARについてのDVHパラメーターとその各種アウトカムへの影響を検討することが肝要としており、多施設で進行中のEMBRACEについて言及している。
子宮頚癌の治療成績向上のためには、放射線治療部分の他に、同時併用化学療法部分の強化(Duenas-Gonzalez, JCO2011)、補助化学療法(根治照射:OUTBACK試験、術後:RTOG0724)等が報告・検討されている。
原文の"Image guided adaptive brachytherapy"は用語集に則して訳すと「画像誘導適応小線源治療」となるのでIGBTとしました。
(千葉大学・宇野 隆)