No.40
I 期非小細胞肺癌に対する炭素線放射線療法
Carbon ion radiotherapy for stage I non-small cell lung cancer
Miyamoto T, et al.
Radiother and Oncol. 66:127-140, 2003
重粒子線による放射線治療は線量分布の優位性と高RBEという点から有望であると考えられている。炭素線を用いてI期の非小細胞肺癌の至適線量を求める線量増加試験を行った。最初の試験は6週間18分割で一回線量を3.3GyEから5.3GyEまで(総線量を59.4 GyEから95.4GyEまで)10%ステップで増加させ、次の試験では3週間9分割で一回線量を7.6GyEから8.8GyEまで(総線量を68.4 GyEから79.2GyEまで)5%ステップで増加させて行った。
結果としてGrade3の放射線肺臓炎が81例中3例に認められたが、それらは完全に回復した。これは線量制限因子とはならなかった。最初の試験と次の試験の局所制御率は各々64%と84%であった。両方の試験での再発率は23.2%であった。最初の試験での照射野内再発率は線量依存性がみられた。86.4GyE/18分割を超えるか、72GyE/9分割を超えるものの局所制御率は各々90%と95%であった。この線量増加試験から炭素線の安全性と有効性が確かめられた。第I/II相試験ではあるが、炭素線はI期の非小細胞肺癌の手術成績と殆ど同等の成績が挙げられた。
これはGreen Journalに掲載された放医研からの報告である。現在この領域はX線による体幹部定位照射のターゲットとなり、ほかにも数カ所の施設より有望な治療成績が報告されている。放射線治療としては特に臓器温存性をアピールし、少なくとも手術不能例に関しては、炭素線も含めたこのような方法が標準治療となるよう全学会をあげて努力したいところである。
(唐沢 克之)