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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.127
EPIC: 転移性大腸癌に対する二次治療としてのセツキシマブ・イリノテカンのphase III trial.

EPIC: phase III trial of cetuximab plus irinotecan after fluoropyrimidine and oxaliplatin failure in patients with metastatic colorectal cancer.

Sobrero AF, Maurel J, Fehrenbacher L, et al.
J Clin Oncol 26(14):2311-2319, 2008

目的

転移性大腸癌で、フッ化ピリミジン / オキサリプラチン治療に不応となった症例に対しイリノテカンにセツキシマブを加えた場合の生存期間の延長を検討

対称と方法

1298例、多施設共同。 ECOG PS 0-2、20 × 10mm 以上の腫瘍、EGFR 発現あり。フッ化ピリミジンかオキサリプラチンの最終投与から6月以内。

Arm 1: 下記 + cetuximab(400mg/m2, 以後 250mg/m2 毎週)

Arm 2: irinotecan 350mg/m2(1/3週)

Endpoints: 1. OS 2. PFS, RR(Response Rate), QOL

結果

(以下は各 Arm 1 vs Arm 2)

Median OS (10.7月 vs 10.0月、p = .71)、

Median PFS (4.0 月 vs 2.6月、p < .0001)

RR (16.4% vs 4.2%、p < .0001)

QOL は arm 1 で良好 (p = .047) (EORTC QOL questionnaire C-30)

アクネ状湿疹 (76% vs 5%,  grade 3/4 では 8.2% vs 0.2%)

下痢(grade 3/4 で 28.4% vs 15.7%)

電解質異常 (33.8% vs 8.4%)

結論

セツキシマブはPFS, RR, QOL を有意に改善。OS は大差なし(プロトコール終了後にイリノテカン単独群にもセツキシマブを投与したことが理由と推定)。

有害事象にも大差なし(ただし皮膚・下痢・電解質異常を除く)。

コメント:日本では昨年末に認可されたベバシズマブ (Avastin) にひきつづき、セツキシマブ (ERBITUX) は近日認可される見込みである。

Bevacizumab + FOLFOX4 は進行大腸癌に対する二次治療として生存期間を延長し、今後は一次治療となる可能性がある (JCO 25(12): 1539, 2007) が、 放射線治療との併用はなさそうだ。
一方セツキシマブは頭頚部・食道・肺などで化学放射線療法として多数報告されており、その場合強い皮膚合併症の報告が多いので要注意だ (IJROBP 70(2): 391, 2008、その他多数)。

思えば Rituximab や Trastuzumab が登場したときは「いい薬が導入されて良かった」という実感だった。しかし今回は「もはや放射線治療と薬剤との両方に精通するのは至難」と感じる人も多いのではないか。対して記憶力は減衰の一途。そこで、ひとつの臓器の専門家になったりIMRT/SRT に没頭したり、優秀な若手を育てて助け合ったりできればいいのだが、腫瘍内科がない病院に一人放射線治療医として赴任した人はどうしたらいいのだろう。


(岡嶋 馨)

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