No.62
Co-60の小線源治療による乳房部分照射70例の12年の有害反応
Partial breast irradiation with interstitial Co-60 brachytherapy results in frequent grade 3 or 4 toxicity. Evidence based on a 12-year follow-up of 70 patients
Poti Z, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 58:1022-1033, 2004
目的
早期乳癌における小線源治療単独の有害反応と美容的結果を分析した。
方法
1987年11月から1992年6月に治療した、断端の情報不明の乳房温存手術後のI/II期乳癌70例を対象とした。術後の腫瘍床が、有効長4cmの Co-60線源の10mm間隔の単平面刺入で照射された。線源の本数の中央値は5本で、133-137MBq/cmであった。線源表面より5mmの点で 50Gyが10-22時間で照射された。のちの放射線生物学的考察で、CTVは10mmマージンをとって基準線量28Gyで中央値72cm3であった。
結果
観察期間の中央値12年(10-15年)で、30例が死亡、そのうち乳癌死は18例で、生存者40例中2例で乳癌の再発を認めた。局所再発は17/70で24%(中央値2年、0.5-14.5年)に認められ、12例は真の断端再発であった。有害反応の評価は局所再発なしの27乳房と有害反応で外科的処置を施行した7例の計34例で行なった。97%(33/34人)でRTOG 2度以上の、59%(20/34人)でRTOG 3度以上の有害反応を認めた。毛細血管拡張は2度以上85%、3度以上41%、線維化は3度以上35%で、脂肪壊死を41%に認めた。美容的結果は不良(poor)が50%であった。
結論
Co-60の小線源治療単独による腫瘍床への照射の結果は、RTOG 3度以上の有害反応59%、美容的結果不良50%であった。これには比較的高い線量率(1.3-2.8Gy/h)を短時間(10-22時間)で照射したこと、皮膚の近傍に刺入するなどの線源配置の誤りなどが原因と考えられた。
乳房温存療法における乳房照射の治療期間短縮などを目的とする、小線源による乳房部分照射が話題になっています。それがこの論文がRed Jの巻頭を飾った主な理由と思われます。この成績は満足の行かないもので、著者は小線源治療単独を推奨しないと結論付けています。しかし、考察に乳房の小線源治療の治療成績のまとめがあり、それを見ると、決して乳房の小線源治療全体が否定されるものではないと思います。もちろん、照射法の工夫は必要と思います。ただし、個人的には、乳房串刺しはあまり受けたくない治療ですが…。
(唐澤 久美子)