No.103
高齢者(60歳以上)の限局期リンパ腫に対し、CHOP療法4回単独とCHOP療法4回と局所照射を比較したGELAのランダム化比較試験
CHOP alone compared with CHOP plus radiotherapy for localized aggressive lymphoma in elderly patients: A study by the Group d'Etude des Lymphomes de l'Adulte
Bonnet C et al.
J Clin Oncol 25(7):787-792, 2007
対象
60歳以上、病期1-2期、IPIで年齢以外の予後不良因子なしの576例
治療法:CHOP療法4回 vs. CHOP療法+局所照射(40Gy/22回)
結果
患者:平均年齢 68歳(60-85)、巨大腫瘤8%、節外病変約半数、DLBCL約80%
5年Event-free survival:化学療法単独61%(95%CI、55-66%)、化学療法+照射64%(58-69%)
5年全生存:化学療法単独72%(95%CI、66-77%)、化学療法+照射68%(63-74%)
再発形式:化学療法単独(当初の腫瘍部47%、遠隔37%、両者16%)、化学療法+照射(当初の腫瘍部21%、遠隔66%、両者13%)
多変量解析:生存に与える因子(病期2、男性)。巨大腫瘤は予後因子にならず。
死因:64%がリンパ腫によるもの、14%が他癌死、そのほか、心疾患、感染など
結論
リスクの低い限局期の高齢者リンパ腫におきて、局所照射は CHOP療法4回に対し上乗せ効果は示されなかった。
コメント
このデータをどのように解釈するのか難しいところです。化学療法だけですめばそれでよしとするのか?SWOGのデータとの乖離をどう考えるのか?いろいろ問題があるように思います。IPIスコアで年齢以外リスクがないというものの巨大腫瘤が一部含まれており、これをCHOP4回でOKとするのか?当初規定していた組織型以外が7-10%程度含まれていること、T/NK細胞リンパ腫が含まれていることなど、いくつかこの試験の問題点はありますが、しかし、この試験を全く無視できないのも事実です。Editorialには全身の細胞レベルの腫瘍細胞を十分制御できる全身療法を行って初めて局所療法の上乗せ効果は期待できないことや、リツキサン抜きでは最終決着がつかないとのコメントもありました。
みなさまがこの論文をどのように解釈されるのかご意見頂けませんでしょうか?
(鹿間 直人)