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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.86
頭頸部扁平上皮癌に対する放射線治療における、週5回と週6回照射の比較: DAHANCA 6&7 randomized trial

Five compared with six fractions per week of conventional radiotherapy of squamous-cell carcinoma of head and neck: DAHANCA 6&7 randomized trial

LANCET 362:933-940, 2003

背景

頭頚部癌は放射線照射で根治が可能であるが、局所制御のための最適な治療法は明らかでない。一週間に5回でなく6回の治療を行うことによる治療期間の短縮が扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果を上昇させるかどうかを検討した。

方法

1992年1月から1999年12月まで多施設によるランダマイズ試験を1485患者に放射線単独治療で行った。1476名が週5回(726名)および週6回(750名)にランドマイズされ同じ総線量・一回線量で治療された(66-68Gy、33-34回。T1の喉頭癌では総線量62Gy)。喉頭癌以外には放射線増感剤nimorazoleを併用した。

結果

97%以上の患者で計画した総線量が実施された。治療期間の中間値は週6回法で39日、週5回法で46日であった。5年局所制御率は週6回法で70%、週5回法で60%(P=0.0005)であった。原発巣の制御において治療期間の短縮は有用であった(週6回法で76%、週5回法で64%)が、頚部リンパ節の制御に関しては有意差がなかった。週6回法は週5回法に比べ喉頭癌における発声機能温存率は改善した(週6回法80%、週5回法68%、P=0.007)。Disease-specific survivalは改善した(週6回法73%、週5回法66%、P=0.01)が、Overall survivalは改善しなかった。急性の合併症は週6回法で多かったが、一過性であった。

結論

頭頚部癌において週6回の治療による治療期間の短縮は有用であり、デンマークでは標準的な治療法となっている。


(茂松 直之)

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