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No.70
局所進行頭頸部腫瘍に対する5-FU/MMC併用加速過分割照射は、より高線量の加速過分割照射よりも効果が高い:ドイツ癌学会95-06ランダム化比較試験最終結果

Hyperfractionated accelerated chemoradiation with concurrent fluorouracil-mitomycin is more effective than dose-escalated hyperfractionated accelerated radiation therapy alone in locally advanced head and neck cancer: final results of the radiotherapy cooperative clinical trials group of the German Cancer Society 95-06

Budach V, Stuschke M, Budach W, et al.
J Clin Oncol. 23(6):1125-1135, 2005

目的

局所進行頭頸部腫瘍に対して5-FU, MMC併用加速過分割照射(C-HART; 70.6Gy)と加速過分割照射単独(HART; 77.6Gy)をランダム化比較する。

患者と方法

384症例のIII期(6%)およびIV期(94%)の中咽頭癌(59.4%)、下咽頭癌(32.3%)、および口腔癌(8.3%)を、 30Gy/15回の後 1.4Gy bid で合計70.6Gy/6週に5-FU (600mg/m2; d1-5), MMC (10mg/m2; d5, d36)併用(C-HART)か、あるいは14Gy/7回の後 1.4Gy bid で合計77.6Gy/6週 (HART)で治療した。

結果

5年局所制御率および全生存率はC-HARTでは 49.9%および28.6%、HARTでは37.4%および23.7%でいずれも有意差であった(p=0.001, p=0.023)。無再発率はやはりC-HARTが良好であったが(p=0.009)、無遠隔転移率は差がなかった。粘膜炎、皮膚炎などの急性反応はC-HARTで弱く、晩期反応は両群に差がなかった。

結論

C-HARTの治療成績がHARTに比較し有意に良好で、かつ急性反応は軽度で晩期反応は同等であった。C-HARTによって治療可能比の改善が示された。

コメント

ドイツの10施設で行われた77.6Gy/6週 (HART)と線量を減らした化学放射線療法(C-HART; 70.6Gy)の大規模ランダム化比較試験である。このプロトコールは全照射期間が両群とも6週間になるようにうまく設定されており、併用化学療法は比較的低用量の5FUとMMCである。シスプラチンを含まない古典的な化学療法の同時併用で、合計線量が7Gy (9%)少ないにもかかわらず5年局所制御率を12.5%、全生存率を約5%向上させ、しかも急性反応も軽減できているは驚きである。当然ながらこの程度の化学療法では遠隔転移の減少はみられない。線量の増加よりも化学療法による放射線増感の方が治療可能比があがることを明確に示した臨床試験である。


(西村 恭昌)

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