No.109
3期非小細胞肺癌に対する連日少量カルボプラチン、パクリタキセル同時併用過分割照射の2相試験。
Concurrent hyperfractionated radiotherapy and low-dose daily carboplatin and paclitaxel in patients with stage III non-small-cell lung cancer: long-term results of a phase II study.
Jeremic B, Milicic B, Acimovic L, et al.
J Clin Oncol 23:1144-1151, 2005
3期非小細胞肺癌に対する化学放射線同時併用療法の2相試験(n=64)である。薬剤はカルボプラチン(25 mg/m2)とパクリタキセル(10 mg/m2)を連日投与し、放射線治療は1回1.3Gy、1日2回の過分割照射(67.6Gy/52回/5.2週)であった。照射野には縦隔を予防的に含み、三次元照射については規定されていなかった。
生存期間中央値は28ヶ月、5年生存率は26%であった。Grade 3以上の血液毒性が25%、食道炎が17%で、有害事象による7日以上の照射中断は11%であった。治療関連死は見られなかった。
解説:治療成績が良すぎる印象もあるが、放射線治療にウエイトを置いた治療方法が参考になると思い紹介した。
三次元照射により線量増加が広く試みられているが、通常分割では線量増加に伴い照射期間が延長することが局所制御の妨げとなりうる。照射期間短縮のために1回1.5Gy程度の加速過分割照射を用いた場合、欧米では食道炎の頻度が高いため、1回線量をmodifyした過分割照射が試みられたものと考えられる。本邦では食道炎の頻度が比較的低いが、有害事象が問題となる場合には、1回1.4Gyや1.3Gyも選択肢になりうると思われる。(1.3Gyでも照射期間が短縮することから加速過分割照射と呼べそうである。)
もうひとつは血液毒性が低いことからわかるように、化学療法の強度が抑えられていることである。このため照射中断の頻度が低く、放射線治療の効果を引き出すことが可能となっている。低い強度ではあるが、増感剤としての効果を生かすために連日投与という方法をとっている。本邦では強力な化学療法が併用されることが多く、照射中断により放射線の効果を不十分なものにしている可能性がある。化学療法と放射線治療の強度のバランスが大切であると考えられる。
(多田 卓仁)