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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.278
NET G2/3に対する初回治療としての177Lu-DOTATATEの有効性

[177Lu]Lu-DOTA-TATE plus long-acting octreotide versus high dose long-acting octreotide for the treatment of newly diagnosed, advanced grade 2–3, well-differentiated, gastroenteropancreatic neuroendocrine tumours (NETTER-2): an open-label, randomised, phase 3 study:The Lancet, June 05, 2024

NETTER-2 は、G2およびG3の膵消化管内分泌腫瘍(GEP-NET)に対して、初回治療として、従来の標準治療である高容量オクトレオチドと比べて、低容量オクトレオチド+177Lu-Dotatate(ルタテラ)が有効であるかを調査したランダム化第 3 相試験です。177Lu-Dotatateの併用により無増悪生存期間が有意に延長しました。

概要

  • 目的:G2およびG3のGEP-NETに対する第一選択としてのLu-Dotatate治療の有効性と安全性を調査する。
  • 対象:新たにG2 (Ki 10%以上20%以下) およびG3 (Ki 20%超55%以下) と診断され、前治療歴のないSSTR陽性の進行性GEP-NETの患者。
  • 方法:NETTER-2 は、非盲検、ランダム化、並行群間、優位性、第 3 相試験です。北米、ヨーロッパ、アジアの 9 か国 45 施設から、新たに診断されたグレード 2およびグレード 3、ソマトスタチン受容体陽性 (すべての標的病変)、進行性胃腸膵神経内分泌腫瘍の患者 (15 歳以上) を登録。Grade (2 vs 3) と原発巣 (膵臓vsその他) で層別化し、(Lu-Dotatate+オクトレオチドLAR 30 mg)と対照群(高用量オクトレオチドLAR 60 mg)に 2:1で無作為に割り付け。
    腫瘍の評価はベースライン、16 週目、24 週目、およびその後は病気の進行または死亡まで 12 週ごとに実施。評価項目:Primary endpointはPFS、Secondary endpointは ORR, QOLとした。

結果

  • 患者背景:両群バランスはとれていた。原発部位は膵臓(55%)、小腸(30%)、直腸(5%)、胃(4%)、その他(7%)であった。
  • PFS中央値:Lu-Dotatate群で22.8ヵ月、対照群で8.5ヵ月 (HR 0.276 [0.182 - 0.418] ; p < 0.0001)。ORR:Lu-Dotatate群で43%、対照群で9.3%。
  • QOL評価(EORTC QLQ-C30):Lu-Dotatate群と対照群で有意な差はみられなかった。
  • 有害事象 (全グレード) :Lu-Dotatate群の治療患者147名中136名 (93%)、対照群の治療患者73名中69名 (95%) 。新たな安全性上の懸念は認められなかった。

結論

第一選択薬として 177Lu-Dotatate とオクトレオチド LAR を併用すると、進行期胃腸膵神経内分泌腫瘍のグレード 2 または 3 患者における無増悪生存期間の中央値が有意に (14 か月) 延長した。177Lu-Dotatate は、この患者集団における第一選択薬として新たな標準治療として考慮されるべきである。

神宮 啓一(がん放射線治療推進委員会RI内用療法小委員会)

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