No.274
食道・胃癌のオリゴ肝転移に対する陽子線治療の日本全国多施設コホート・データ
Hisashi Yamaguchi, et al. The Japanese nationwide cohort data of proton beam therapy for liver oligometastasis in esophagogastric cancer patients. J Radiat Res.2023 Nov 21;64(6):926-932.doi:10.1093/jrr/rrad066.
本研究は、食道・胃癌オリゴ肝転移に対して陽子線治療を受けた患者の多施設コホートデータを解析したものである。原発巣が制御されており、肝外再発なし、かつ、3個未満の肝転移を対象とした。24例(男性22例、女性2例)、35病変について解析した。年齢中央値は69歳(52-80歳)、原発臓器は食道6例、胃18例。腫瘍径は中央値32mm (7-104mm)、1回線量は中央値3.8Gy (RBE)/fr (2-8Gy (RBE)/fr)、BED10の中央値は96.9Gy (88.8-115.2Gy)。中央観察期間は18か月(4-47か月)。1,2,3年全生存率はそれぞれ、75%, 51.8%, 45.3%、全生存率の中央値は25.3か月。1,2,3年累積局所再発率はそれぞれ、3%, 6%, 6%。生命予後予測因子として、患者年齢 (P<0.01)、全身状態 (P=0.017)、腫瘍径 (P=0.024)が統計的有意であった。グレード3以上の有害事象は観察されなかった。食道・胃癌からの肝オリゴ転移に対して、陽子線治療は有効な治療選択肢である。
菅原 章友(編集委員会)