No.83
105例の病期I- II期の鼻腔原発非ホジキンリンパ腫(NK/T)の遡及的解析
Radiotherapy as primary treatment for stage IE and IIE nasal natural killer/T-cell lymphoma
Li YX et al.
J Clin Oncol 24:181-189, 2006
対象
病期:1期(83例)、2期(22例)
平均年令:42才(9-72)
stage modified IPI:0(36例)、1(69例)、2-3(27例)
B症状あり:37例
LDH上昇:53例
治療方法
放射線治療単独(31例)、放射線→化学療法(34例)、化学療法→放射線(37例)、化学療法単独(3例)
放射線治療:平均線量50Gy(40-65)
化学療法:CHOP、またはCHOP-like(鼻腔外進展例やB症状を有する症例で多く用いられていた)
結果
全症例の5年全生存:71%、5年無増悪生存:59%
病期1期の5年全生存:78%、5年無増悪生存:63%
病期2期の5年全生存:46%、5年無増悪生存:40%
多変量解析の結果:病期、副鼻腔への進展、mIPI、が全生存および無増悪生存に影響
全症例を対象とした場合、放射線単独治療と「放+化」の成績は同じくらい
周囲臓器への浸潤のない病期1の5年生存率は約80%
再発形式:局所(29%)、所属リンパ節(35%)、遠隔(81%)(重複あり)
結論
早期例では放射線治療の成績は良好であった。化学療法の併用は生存率を上げていない。
感想
平均線量50Gyが投与されているためか、我々が経験しているより鼻腔からの再発例が少ない印象。Sequentialに投与した化学療法の有用性は示されなかった。 Sequential に行うCHOP、またはCHOP-likeの化学療法では充分に遠隔転移を抑えることができていないようである。照射先行例の方が鼻腔内の制御(CR割合)は良いが、全生存は化学療法先行や照射単独と同等。100例を越える症例の解析から予後因子がいくつかあげられた。今後予後因子を考慮し、より aggressiveな治療とless toxicな治療が選択されるようになることが望まれる。しかし、不明な点は多く今後さらなる研究が必要であろう。
(鹿間 直人)