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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.225
限局期小細胞肺癌に対する化学放射線療法, 加速過分割vs 通常照射

Concurrent once-daily versus twice-daily chemoradiotherapy in patients with limited-stage small-cell lung cancer (CONVERT): an open-label, phase 3, randomised, superiority trial

Faivre-Finn C, Snee M, Ashcroft L, et al.

Lancet Oncol. 2017 Jun 19. [Epub ahead of print]
DOI: 10.1016/S1470-2045(17)30318-2

背景

限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)の標準治療は化学放射線療法(CRT)であるが、最適な線量分割については疑問がまだ残る。

対象と方法

45Gy/30Fr 加速過分割照射(AHF)より66Gy/33Frの通常照射(CF)が2年生存で12%の優越性があるという仮説の非盲検第三相ランダム化試験。1コースのCDDP+VP-16の導入化学療法後、CRTを行う。
補助化学療法を含め4-6コースの化学療法。Primary endpointは全生存率、Secondary endpointはコンプライアンス、毒性、PFSであった。

結果

AHF群274名、CF群273名。生存期間中央値はAHF 30ヶ月、CF 25ヶ月、2年生存率はAHF 56%、CF 51%であり、CFの優越性は示されなかった。
最も多かった有害事象は好中球減少でAHF群にG4が多かったが、2群間のコンプライアンス、有害事象はおおむね同等であった。
11名の患者に治療関連死(AHF 3名、CF 8名)がみられ、local/metastatic PFSの差は認められなかった。

結論

CFの優越性は示さず、毒性も大きな差は見られなかった。LD-SCLCのCRTは45Gy/30FrのAHFが引き続き標準治療である。

コメント

AHF45Gy/30Fの根拠はNEJM(PMID: 992095)の45GyをAHFの30Frで行うか、CFの25Frで行うかを比較した試験であるが、総線量が同等で総治療期間(OTT)が短いと成績が向上する妥当な結果で、根拠とするには弱い。
この試験で、AHF45Gy/30Frの妥当性が示された。施行中のRTOGの試験の結果も踏まえ、標準的スケジュールが決まってくると思われる。

また前述のNEJMの報告より有害事象(特に食道毒性)は減少し、成績は良くなっていた。これは放射線診断の進歩/IFRTの採用/放射線治療技術の向上によると考察されている。線量規定因子の食道炎が減少したことから線量増加による予後改善の可能性もあると考察されている。

また、本試験では治療中のG-CSFの使用が認められており、重篤な血小板減少、貧血の頻度があがったが、PFSやOSの低下はなかったとの学会報告(ESMO 2017 LBA2_PR)もされている。詳細は論文を待ちたい。

PMID: 28642008
Evidence Level Ib

(京都桂病院 伊藤 仁、倉敷 中央病院 板坂 聡)

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