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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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No.135
子宮頸癌に対する画像誘導放射線治療:ハイテク外照射 vs ハイテク小線源治療の比較

Image-guided radiotherapy for cervix cancer: high-tech external beam therapy versus high-tech brachytherapy.

Georg D, Kirisits C et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 71(4):1272-1278, 2008

目的

外部照射と小線源治療を比較した研究は数多くあるが、それらは先進的な外部照射と従来法の小線源治療との比較であるためにバイアスがかかっている。この研究ではハイテク外照射とハイテク小線源治療を比較した。

対象と方法

対象は局所進行子宮頸癌の9症例。患者は腔内、組織内と腔内併用、また複雑な組織内照射のいずれかで治療された。
肉眼的腫瘍体積(GTV)、高リスク臨床的標的体積(H-CTV)、中リスク臨床的標的体積(I-CTV)、膀胱、直腸、S状結腸をMRIで描出し、MRI 誘導小線源治療計画が行われた。最適化はリスク臓器の線量制約に基づき、手動で行なわれた。小線源治療計画のCTV s (H-CTV, I-CTV)に3mmまたは5mmのマージンを付加し、それを外照射の計画標的体積PTVs (H-PTV, I-PTV)とした。光子線強度変調放射線治療(IMRT)と強度変調陽子線治療(IMPT)は直腸、膀胱、S状結腸のD1cc, D2ccが小線源治療と同等になるように制限し、かつPTVにできるだけ高線量を投与するようにしてインバースプランによる計画が行われた。線量分割は小線源治療と同じ (4 x 7Gy)とした。PTV、CTVのD90と3-7Gyの分割線量を受ける正常組織の体積を比較した。

結果

IMRTで直腸、膀胱、S状結腸のD1cc、D2ccを小線源治療と同等なるように制限した場合、高リスクPTVおよび中リスクPTVのD90はほとんどの症例で小線源治療より低かった。60Gyが照射される体積は小線源治療と比較してIMRTではおよそ2倍大きかった。一方、IMPTでは低かった。3mmマージンをつけたIMPTのPTV線量は小線源治療と同等であった。GTV線量は大半の症例でIMRTもIMPTも小線源治療より低かった。

結論

ハイテク外照射を基準とする場合には、ハイテク小線源治療でもって検討されるべきである。子宮頸癌のboost治療に対しては、IMRTやIMPTはハイテク小線源治療より劣っているように思える。

コメント

小線源治療とIMRTの比較の議論は最近良く話題になっていますが、確かにハイテク小線源治療とハイテク外照射の比較が行われた論文は少ないと思います。小線源治療はいまや従来法からImage Guided Brachytherapyの時代になりつつあり、強度変調小線源治療を行なっている報告もあります。わが国ではハイテク小線源治療はあまり行なわれていませんが、今後はそのような方向も考えていく必要があるのではないでしょうか。


(高橋 豊)

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