No.66
進行中咽頭癌に対する Docetaxel週1回同時併用放射線治療のPhase II trial
Radiotherapy with concomitant weekly Docetaxel for stages III/IV oropharynx carcinoma.
G Calais, et al
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 58:161-166, 2004
対象は、遠隔転移のないIII-IV期の中咽頭癌63名である。放射線治療は、通常分割照射70Gy/35Fr/7Wを施行し、Docetaxel 20mg/m2(点滴静注)を週1回、計7cycleを同時併用した。放射線治療のcomplianceは、総線量、治療期間、治療中断の点から良好であった。Grade 3-4の粘膜炎が84%、Grade 3-4の皮膚炎が53%に生じたが、血液毒性の頻度は少なく、Grade 3-4の好中球減少は5%であった。3年生存率は47%(95%CI=39-68%)、3年無病生存率は39%(95%CI=30-57%)局所制御率は64%(95%CI=51-78%)であった。結論として、Docetaxelの週1回同時併用の通常分割放射線治療は安全に施行できる。また粘膜炎と皮膚炎が主な急性有害事象であるが、治療成績はプラチナ製剤や5-Fuを同時併用した放射線治療とほぼ同等であり、今後Docetaxelにさらに他の薬剤を加えた放射線治療のtrialが必要であるとしている。
近年Docetaxelを毎週投与する方法により、従来問題となっていた好中球減少を抑えることが出来ることが明らかになってきた。そのため本論文のように放射線治療との同時併用が容易となった。CDDPと5-Fuを中心とした化学療法との併用と比べてエビデンスレベルはまだ低いが、Docetaxelは末梢静脈投与を短時間で行え、比較的全身状態が不良でも安全に使用できると言われており放射線治療との併用においても期待される薬剤と思われる。但し、頭頸部癌での放射線治療との同時併用において、本論文中にも述べられているとおり、放射線性粘膜炎がプラチナ製剤との併用と比較して明らかに高率であり注意を要する。
(栗林 徹)