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公益社団法人日本放射線腫瘍学会

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良性疾患の放射線治療ガイドライン

(ドイツ・ワーキング・グループ)

Consensus Guidelines for Radiation Therapy of Benign DIsease: A Multicenter Approach in Gernamy.
Micke O, Seegenschmiedt MH, et al.
Int J Radiat Oncol Biol Phys, Vol 52 (2):496-513, 2002

1. 変性性疾患

(a) Treatment Refractory Insertion Tendinopathy (Tendonitis)

適応: painful periarthropathia humeroscapularis (PHS)、epicondylopathia humeri (EPH) radialis or ulnaris, calcaneodynia=plantar or dorsal calcaneal spur, refractory to conventional and drug treatment
1回線量        
分割
総線量
0.5-1.0 Gy 2-3x / week 3-12 Gy
推奨治療法: 2日毎に0.5-1.0 Gyを6回照射し、総線量は6.0 Gy以下にする。効果があまり認められない場合は、6-12週後に繰り返す。
(b) Painful Treatment Refractory Degenerative Joints (Osteoarthritis)

適応: In the early stage (progressive node or strand formation, slight penis deviation) primarily for pain alleviation and decrease of cohabitation problems and secondarily for the prevention of surgery in the advanced stages.
1回線量
分割
総線量
0.5-1.0 Gy 2-3x / week 3-10 Gy
推奨治療法: 2日毎に0.5-1.0 Gyを6回照射し、総線量は6.0 Gy以下とする。効果があまり認められない場合は、6-12週後に繰り返す。

2.過形成性・過増殖性疾患

(a) Morbus Duputren, Morbus Ledderhose

適応: In the early stage (with progressive node or strand formation without extension deficit and symptoms in the least 6 months; a maximun of extension deficit stage I:<45°) for the prevention of surgery in more advanced stages.
1回線量
分割法
総線量
2.0-4.0 Gy
2-5x / week
20-40 Gy
推奨治療法: 1.0-2.0 Gyを週に2-3回、総線量を20 Gyまで、あるいは、2日毎に3Gyを5回照射し、6-12週後に繰り返して総線量を30 Gyまで。
(b) Morbus Peyronie (Induration Penis Plastica)

適応: In the early stage (progressive node or strand formation, slight penis deviation) primarily for pain alleviation and decrease of cohabitation problems and secondarily for the prevention of surgery in the advanced stages.
1回線量
分割法
総線量
.2.0-3.0 Gy 3-5x / week 15-30 Gy
推奨治療法: 1.0-2.0 Gyを週に2-3回、総線量を20 Gyまで、あるいは、2日毎に3Gyを5回照射し、6-12週後に繰り返して総線量を30 Gyまで。
(c) ケロイド (皮膚)と翼状片(結膜)

適応: 初回再発時の術後予防照射
1回線量
分割法
総線量
2.0-3.0 Gy
3-5x / week
12-20 Gy
推奨治療法: 初回治療はケロイド組織切除数時間以内に開始する。3 Gyを5回程度照射して、総線量は15 Gy程度に。

3.機能性疾患

(a) Gynecomastia

適応: ホルモン治療時の疼痛性乳房拡張の予防に、乳腺を予防的に照射する。女性化乳房が症状として明らかになっている場合は、治療的照射を行うが、成功例は少ない。
1回線量
分割法
総線量
予防的
3.0-4.0 Gy
4-5x / week
12-20 Gy
推奨治療法: 1週間に4.0 Gyを5回照射し、総線量を20 Gyとする。
治療的
2.0-4.0 Gy
4-5x / week
20-30 Gy
推奨治療法: 2-3週間に2.0 Gyを10回照射し、総線量を20 Gyとする.
(b) 内分泌性眼症 (Graves' Orbitopathy)

適応: 自己免疫性甲状腺症あるいは他の甲状腺疾患に伴う、あるいは伴わない進行性眼症状。眼球後部眼窩を照射単独あるいは他の薬剤(ステロイド)を併用して治療する。
1回線量
分割法
総線量
1.5-2.0 Gy 4-5x / week 10-20 Gy
推奨治療法: 2-3週間に2.0 Gyを10回照射し、総線量を20 Gyとする.

4.その他の適応

(a) 年齢に関連した(湿性)黄斑変性

適応: 高齢者で湿性黄班変性が発生し、視力維持のため網膜あるいは網膜下組織を予防的に照射する。
1回線量
分割法
総線量
1.5-2.0 Gy 4-5x / week 12-20 Gy
現在は推奨治療法がない。臨床試験が行われている。
(b) 異所性骨化の予防

適応: 大関節(股、膝、肩、肘、その他の関節)の外傷あるいは術後、または中枢神経系障害による重症の多発性外傷後の異所性骨化の予防。または、瘢痕性骨の外科的切除後の再発予防。
1回線量
分割法
総線量
分割照射: 2.0-4.0 Gy
手術後3-5回 8.0-12.0 Gy
推奨治療法: 手術後24-72時間に、4.0 Gy3回あるいは2.0 Gy5回照射
1回照射: 6.0-8.0 Gy 手術前後に1回 6.0-8.0 Gy
推奨治療法: 手術前後1-4時間以内に1回7 Gy照射
(c) 冠動脈あるいは末梢動脈再狭窄予防

適応: 冠動脈あるいは末梢動脈の侵襲性拡張術(バルーン拡張、ステント挿入)後の再狭窄予防
現在、この治療法は臨床的に検討が加えられている段階で、標的組織や至適線量は十分解明されていない。放射線治療に関して、推奨すべき方法はない。治療は臨床試験のもとで行われるべきである。
1回線量
分割法
総線量
12-18 Gy 1回、拡張術後 12-18 Gy

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