「第7回放射線腫瘍学夏季セミナー」・「第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナー」
第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナー・第 7 回放射線腫瘍学夏季セミナーの開催報告
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教育委員会委員長
北里大学医学部 放射線科 早川 和重
この度「第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナー・第7回放射線腫瘍学夏季セミナー」が大石 元世話人(県立奈良病院院長・奈良医大放射線腫瘍学教室名誉教授),ならびに奈良医大の長谷川正俊教授以下,放射線腫瘍学教室の方々が運営を担当され,奈良県橿原市で開催された。とくに「医学生・研修医のための放射線治療セミナー」では医学生28名,研修医8名が参加し,2泊3日の放射線腫瘍学に関する講演,実習とも熱気溢れる内容であった。また,初日夜の多武峰観光ホテルでは,本セミナー1回目からご協力いただいている阿部光幸先生,橋本省三先生をはじめ,井上俊彦先生やJASTRO理事,教育委員の先生方との懇親会は大いに盛り上がり,2 日目夜の橿原ロイヤルホテルでは,夏季セミナー参加者を交えて楽しい雰囲気の中,深酒をした参加者も少なくなかったようである。本セミナーは医学生・研修医に放射線腫瘍学の魅力に触れてもらうよい機会となっており,本セミナー参加者の中から放射線腫瘍医を志す人は少なくない。
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今回も第3回本セミナー参加者である板澤朋子先生(横浜市大),内野三菜子先生(埼玉医大)の両名には実習や参加者との意見交換などご協力頂いた。現在,彼女らを中 心に本セミナー参加者の追跡調査,セミナーに関する独自のアンケート調査が行われており,本セミナーは今後も放射線腫瘍医育成のための一助になるものと思 われる。最終日の総評・修了証授与式では,参加した医学生・研修医の多くの目が輝いており,近い将来,放射線腫瘍医を目指してくれることを大いに期待できるセミナーでもあった。また,第7回夏季セミナーには全国各地から113名もの参加者が集い,各講演の内容もすばらしいもので,活気があり,皆が充実した研修を受けることができたと感じられた。放射線腫瘍学はサイエンスであると同時にアートがミックスした魅力があり,日本文化の故郷である飛鳥の地で本セミナーが開催されたことで感慨もひとしおであった。
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第7回放射線腫瘍学夏季セミナー・第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナーを開催して
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セミナー世話人
奈良県立奈良病院 大石 元
さる8月5日(金)から7日(日)の3日間にわたり,日本放射線腫瘍学会主催の「第7回放射線腫瘍学夏季セミナー」と「第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナー」を古都奈良(橿原市)において開催させていただきました。教育委員 会が毎年開催してきた夏季セミナーは,多くの放射線腫瘍医が放射線腫瘍学の基礎的事項や各種がんに対する最新の知識を集中的に修得あるいは再修得(リフ レッシュ)するために企画立案されたものと認識しており,まことに意義あることであります。加えて合同開催の「医学生・研修医のための放射線治療セミ ナー」は,もとより少ない放射線腫瘍医を増やすための日本放射線腫瘍学会が継続し行うべき重要な一つの施策と考えられます。
さて心配いたしておりました参加者も,医師ならびに学生とも過去を上回り,まことに充実した3日間のセミナーであったと自負しております。第1日目ユーモアたっぷりの橋本省三先生のご司会によりスタートした医学生を主としたセミナーでは,阿部光幸先生,大西武雄先生,井上俊彦先生,新部英男先生 らそうそうたる方々が放射線治療の歴史を振り返りながら,ご自身のご経験をもとに放射線治療の魅力をこんこんと語られました。この夜は大化の改新の地として有名な多武峰で由緒ある義経鍋を囲みながらにぎやかに談合し,続く自由討論会は深夜に及びました。この日をもって多くの学生諸君は放射線治療の魅力と有 望性を認識し,約20~30%の諸君はこの世界から抜けられなくなったことと思います。
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第2日目の医師と医学生の合同講義では,猛暑のなか奈良にまではせ参じてくださった講師の方々の熱弁は,参加医師の方々はもちろん睡眠不足と多少二日酔い気味の学生諸君を一睡もさせませんでした。講師をお引き受けいただきました先生方には心よりお礼申し上げます。この夜,橿原ロイヤルホテルでの八雲琴演奏に始まった合同懇親会は粗末な料理ではありましたが,大層盛り上がりました。余興の景品に長谷川教授ご自身が買い集められた奈良の鹿グッズはいずれも好評でした。幸運にも高価な鹿の角のペンダントを獲得された方もおられました。引き続き各部屋に分散して開催された自由討論会も大にぎわいで,奈良医大放射線腫瘍学科に 入局しますと宣言した学生さんの出現には感極まりました。早朝に神武天皇と皇后をお祭りしている橿原神宮を参拝された方々もおられましたが,きっといいご利益があると信じております。第3日目の医師に対する講義と学生・研修生の実習,その後の終了式とすべてのプログラムを無事終了することができました。受講の学生諸君の中から,将来放射線 腫瘍医をめざしてくれる方が一人でも多く誕生することを願っております。また,参加された先生方には得るところの多い夏期休暇であったと思っていただけれ ば幸いです。
さて,今回も「医学生・研修医のための放射線治療セミナー」追跡調査研究班の板澤先生,内野先生にはいろいろコメントをいただきありがとうございました。今回採用されたアンケート等の結果をこれからの発展に役立てていただきたく思っております。
最後になりましたが,このように盛況にセミナーを終了できたことは,奈良県立医科大学放射線腫瘍医学講座の新任教授長谷川正俊先生と教室員のがんばりによる成果であったことを申し添えて感想文とさせていただきます。
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第7回放射線腫瘍学夏季セミナー、第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナーを開催して
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セミナー事務局
奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学教室
長谷川 正俊、玉本 哲郎
万葉集にも詠われている大和三山に囲まれた奈良県橿原市(かしはらし)は、約1300年前、我が国で最初の都とされている藤原京があったところです。市内には橿原神社や神武天皇陵もあり、さらに石舞台古墳や高松塚古墳で有名な明日香村にも隣接しています。
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第7回放射線腫瘍学夏季セミナーおよび第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナーは、その古代ロマンあふれる橿原市の奈良県社会福祉総合センターにお いて、奈良県立医科大学放射線腫瘍医学教室(世話人、大石元名誉教授)の担当で、平成17年8月5日から開催させていただきました。近年、学生・研修医の参加が減少し、セミナー継続が危ぶまれているという噂があり、しかも当初は応募者が非常に少なかっ たのですが、全国のJASTRO会員の皆様のご支援、ご協力により、最終的には、医学生・研修医のためのセミナーに36名(医学生28名、研修医8名)、放射線腫瘍学セミナーに113名(合計149名)の参加があり、無事に3日間の日程を完了することができました。
初日は、まず医学生・研修医を対象として、橋本省三先生の座長で、阿部光幸先生、井上俊彦先生、新部英男先生といった超ベテランの先生方に、放射線治療の 歴史や本質にかかわる総論的、基礎的な内容について、非常に魅力的で興味あるご講演をしていただき、さらに、大西武雄先生には放射線生物学に関連した分野 で「癌研究から宇宙研究へ」というタイトルでご講演いただきました。放射線の無限大の可能性のみでなく、宇宙ロマンの一端にも触れることができたようで、 好評でした。
夕食は、藤原鎌足を祀っている談山神社の前のホテルに移動し、初日の講師、JASTROの理事、教育委員および有志の先生方(特にお酒の好きな先生方) にもご参加いただき、名物料理の「義経鍋」を囲みながら、学生・研修医と放射線腫瘍学の魅力や将来等について深夜まで語り合いました。講義では聞けないよ うな情報も得られ、昼間以上に有意義だったという学生も多かったようです。
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二日目は、両セミナー合同で、約150名の参加者を対象に、放射線治療関連の総論から代表的な腫瘍の各論について、現役バリバリの先生方にそれぞれが特異 な分野の講演をお願いしました。最先端でしかも実践的な内容に会場は熱気に包まれ、朝から夕方まで若手医師からは多数の質問が続きました。ただし、現役の 若手放射線腫瘍医と学生・研修医に対して同時に講義することには多少無理があるという印象で、特に学生には難しすぎたようですが、それでも非常に熱心に聞 き入っていました。場合によっては、同じ先生に2回ずつ(レベルを変えて)講演していただくのもひとつの方法かもしれません。
橿原ロイヤルホテルで開催した合同懇親会は、須佐之男命(すさのおのみこと)に由来するという八雲琴の優雅な調べで始まりましたが、先生方のご挨拶、奈 良のご当地クイズ、歓談等で、昼間の熱い講演にも増して活発でにぎやかな宴が夜遅くまで続きました。参加者の一部からはJASTROの総会の懇親会に匹敵 するように盛大(?)との声も聞かれましたが、特に学生は連日深夜まで飲み語り、寝不足になった人が多かったようです。
最終日には、医学生・研修医は、放射線治療計画の実習と観光(参加者が定員をオーバーしてしまったため2班に分けて、実習と、石舞台古墳・高松塚古墳の観光を交代で実施)をおこないました。学生ならではの、いろいろな治療計画ができていたようですが、やはり なんといっても学生自身が実際にやってみたところに大きな意義があると思われます。一方、医師には各論についての講演の続きがおこなわれましたが、現状の 問題点や最新のエビデンスについてのわかりやすい内容で、最後まで真夏の暑さに負けないようなホットな質疑応答が続きました。
なお、セミナー終了後には、全国の先生方からお礼やセミナーの盛会についてのお便りを多数いただきました。講師をはじめとする関係者の皆様、いろいろと ご協力いただき本当にありがとうございました。古事記や日本書紀にも登場する古代史の舞台で、現代の放射線腫瘍学を受講された医学生、研修医、若手医師等 の中から、未来の放射線腫瘍学を担う方がひとりでも多く出ていただければ幸いです。
体験談、セミナー・懇親会アルバム
第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナー参加者体験談
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新潟大学医学部5年 西尾 さやか
このセミナーのことを知ったのは春のポリクリで放射線科をまわったときで、おもしろそうなセミナーが夏休みに開催されると聞いて、すぐに申し込みました。放射線治療の事はほとんど何も知らない状態で、始めに行われたアンケート(というか試験!?)は分からない事だらけでした。「もしかして講義は分からない事だらけなのでは」と、不安を感じずにはいられませんでしたが、実際は聴講するすべてが新鮮で、とても興味深く聞くことが出来ました。勿論、中には分からない所もありましたが…。
そして講義は違った意味でも、とても面白かったです。巧みな話術と随所に仕込まれたネタで引き込まれ、気づけば夢中になって聞いていました。普段の講義とは、一味も二味も違っていました。また、最終日にやらせていただいた、パソコンで放射線治療の計画を立てる実習では、その疾患のことを分かった上で、画像を正確に読めて、治療の方針、今後の展望などを多角的に考えていく力が必要だということを痛感しました。
夜は夜で盛大な食事会と飲みの場が用意されていて、そのときは何気なくお話しした先生方が、実は全国各地でご活躍されている先生方だということを後から詳しく聞き、かしこまる思いでした。初日は移動で疲れていたこともあって、二次会には参加しませんでしたが、二日目は夜中まで先生方や他の学生といろいろな話をしました。放射線科について、各地の大学や病院について、さらには医師としての生き方についてなど、ここへ来なかったら聞けなかったであろう様々な話を聞くことができ、とても刺激的でした。
放射線科の先生方の雰囲気のよさや、前向きな姿勢に感化され、充実した3日間をすごすことができました。何から何までお世話になり、本当にありがとうございました。
東北大学医学部6年 山本 康央
今まで私は少し放射線治療に興味がありましたが,実際に勉強する機会は少なく,放射線治療と聞くと,もう手術のできない進行した癌に施す治療というイメージがあり,実際に根治させることはできないものだと思っていました。しかし,今回のセミナーに参加することによって,そのイメージは完璧に覆されました。自分が思っていたよりも遥かに治療成績が良くて,正直驚きました。こんなにも放射線によって癌が治せるとは思いませんでした。しかし多くの医学生,いや医師でさえ,今までの私が持っていた様なイメージを持っている人は多いと思います。そんな中で私はこのセミナーに参加することによって,放射線という癌治療の一つの選択肢をほんの一部ですが知ることができました。この経験は放射線科はもちろん,たとえ放射線科以外の診療科に進むとしても大変有益なものだと思います。この度はこのようなセミナーにお招きいただき本当にありがとうございました。また3日間色々な話をしていただいた先生方に心から感謝を申し上げます。
群馬大学医学部6年 小林 紫野
最初は、奈良に行ってみようかという思いつきでした。
大学での放射線腫瘍学の授業の最後に、先生からJASTRO夏季セミナーの案内がありました。それまで、ほかの分野でのセミナーなどにも参加したことはなかったので、自分が行く可能性など全く思いもせずに、その案内を聞いていました。最後に、「今回の開催場所は」と提示されたのは奈良県橿原市。行きたい!
そんな思いつきで参加したセミナーは初日からハード。早速講義が4コマありました。大学では実習やら夏休みやらで、久しぶりの座学だったので、そもそも座っていられるかにちょっと不安だったのですが…。でもそれは杞憂でした。というのも、初日は学生・研修医を対象とした講義。放射線腫瘍学についての基礎知識もあまりない私たちですが、普通に「興味のもてる」お話が満載でした。先生方も気さくな講義の進め方で、「夏休み子ども科学教室」の放射線腫瘍学版、とでもいうかのようなノリでした。わくわくするようなお話に惹きこまれてしまい、1コマ60分はあっという間でした。
夜、宿のお部屋は4人部屋。他大学の5年生、研修医の先生2人と私(6年生)、とバラエティに富んでいて、話を聞くだけでも楽しい時間でした。マッチング試験の最中の私にとっては、とくに研修医の先生の話はとても興味深くて、「これだけでもセミナーに参加した価値があった!」と思えるほど。3日間のセミナーの間に他大学の人とも仲良くなり、6年生と情報交換をしたり、4年生の意識の高さに驚いたりと刺激たっぷりの3日間でした。
セミナー2日目は、実際に医師として現場で働いていらっしゃる先生方との合同の講義が始まります。その分、講義のお話はちょっと難しくなるのですが、やはり実際に診療をされている先生方は熱意が違いました。質疑応答も活気があり、真剣な先生方。その熱い雰囲気にちょっと圧倒されながらも、一緒になんだか楽しい気分を味わっていました。ちょっと賢くなったような気分にも。
3日目は実習&観光。実習は4~5人一組でコンピュータを使って治療計画を立てたのですが、なかなかうまくいきません。「この患者さんはもうちゃんと治療されているから安心してね」との先生のお言葉を心の支えに、技師さんや先生方にアドバイスをいただきながら、なんとか完成。あまりうまくいかず、グループ内では苦笑いをしながらの発表になりましたが、それも楽しい経験でした。
あまり「勉強」感はなくて、でも、たくさんのことを学べた気がします。毎日面白いお話がいっぱいで、このセミナーでご講義してくださった先生方、お世話してくださった先生方には心から感謝しております。本当に得るものの多い、楽しい楽しい3日間でした。どうもありがとうございました。
久留米大学医学部4年 岡本 明子
この放射線治療セミナーは5、6年生と研修医を対象に、2泊3日間行われています。今年は医学生の参加希望者が多く、とてもにぎやかな感じでした。私は4年ということで、放射線についての講義が終了しており、「放射線治療や画像診断は難しい」というイメージしかなく、自分にとって遠い存在のものと感じていました。この機会を利用して何か少しでも分かるようになりたいと思い参加を希望しました。
実際にセミナーに参加すると午後6時まで肺癌、食道癌、温熱療法やQOLについてなど、最新の治療から宇宙研究まで幅広い講義が行われました。2日目は医師の方々とも講義は一緒で少し難しかったですが、これが実際の医療なんだと関心させられることがたびたびありました。
食事会や懇親会では、さまざまな学校の先輩方や研修医の方、物理士の方とも親しくなることができ雑談や勉強の話や部活の話が弾みました。また沢山の教授や先生方を生徒が囲み気軽に話しを伺う機会が多くあり、参加者全員が朝から夜まで一つになって楽しく熱いセミナーを過ごせたと思います。
今回参加してみて、放射線腫瘍医の対象になる疾患は頭の先から足の先までさまざまな臓器や器官に分かれており、色々な科にまたがって活躍していることが分かりました。宇宙旅行などの放射線被爆や画像診断など、今では放射線腫瘍医は遠い存在ではなく身近な存在として感じられるようになりました。このセミナーは情報交換の場でも非常に有意義な3日でした。
神戸大学医学部6回生 芝 奈津子
私がこのセミナーに参加したきっかけは、大学の掲示板でセミナー参加者募集のポスターを見たことでした。もともと放射線科には興味があったのですが、放射線腫瘍学についてはほとんど知識がなかったので少し勉強ができればなという思いでしたが、二泊三日のセミナーでそれ以上に色々なよい経験をさせていただきました。
初日は医学生、研修医のための講義がありました。ここで放射線腫瘍学とはなにか、また放射線治療が医療のなかでどれほど重要な位置にあるかといった基本的なことを学ぶとともに、宇宙開発にも放射線の研究が関わっているということなどを教えていただきました。今年はスペースシャトルのディスカバリーが打ち上げられ話題になりましたが、その研究内容や宇宙飛行士に対する放射線の影響などの興味深い内容がユーモアを交えて話されました。
2日目は、放射線科医の先生方のセミナーに合流して朝から夕方まで講義がありました。具体的な内容については学生の私には難しい部分もありましたが、現在の治療のトピックスを知ることができました。特に私は粒子線治療について以前から興味があり、小さな侵襲で大きな治療効果が得られる治療法としてその魅力を実感しました。
最終日は奈良の観光と放射線治療計画のシュミレーション実習がありました。放射線治療計画は一つ一つの症例で異なり、どれほどの範囲にどれくらいの強さの放射線を当てるかを決めるのは本当に難しいと思いました。正常な部位への線量を少なくして、腫瘍には十分量の線量を照射しなければいけません。そのためには、腫瘍の特徴や感受性、そしてそれぞれの臓器の強さなどたくさんの知識が必要なのだと感じました。
上記のようなセミナー内容でとても充実していましたが、他にも先生方や他大学の学生との交流の機会もたくさんありました。北海道から九州まで日本全国で活躍される先生方のお話や、大学間そして病院間での交流がさかんであること、マッチングシステムやスーパーローテートについてのアドバイス、また女性の先輩放射線科医の生活などについて食事やお酒を交えてにぎやかに伺うことができました。そこで私が感じたのは、それぞれの先生方が色々な角度から放射線治療に携わっていながらも、患者さんのことを考えて生き生きと治療をされていることでした。だからこそ、それぞれの病院や施設に異なる特長が現れているのだと思いました。また、同じ将来を目指す医学生に出会えたことも私の大きな収穫となりました。
今回は奈良で行われたセミナーだったので、奈良の歴史や文化に触れながら放射線腫瘍学について学ぶことができました。学生にとっては、放射線科に興味があってもセミナーなどに参加する機会が見つからなかったり敬遠してしまいがちなので、学生を対象とした今回の機会は参加しやすく本当によかったと思います。たくさんの先生や学生と出会えたことが、今後の進路を決定する上でも貴重な助けとなりそうです。本当にありがとうございました。
富山大学(旧富山医科薬科大学) 医学部医学科5年 中川 恵子
今回はじめて医学生・研修医のための放射線治療セミナーに参加させていただきました。私は医学部に入学する前、放射線に関する仕事に従事していたということもあり、入学当初から放射線科に興味がありましたが、夏休み前に、我大学の放射線科の先生に、「夏休み中、病院の見学などに行こうと思っているのですが、どこかお薦めはありますか?」と相談しに行ったところ、「そういや…JASTROのセミナーの通知が来ていたなあ…探しておくから、明日もう一回来て。」と言われました。JASTRO?!セミナー?!首をかしげながらも、次の日その先生のところに再び行ってみると、「明日締め切り。すごい偶然だなあ…縁があるぞ!」ますます、私には意味不明でしたが、ともかく、いただいた案内とホームページをみて、締め切りぎりぎりに参加申し込みをさせていただいたのでした。このように決まった私のセミナー参加でしたが、今思うと、本当に良い縁があったように思います。
セミナーの日は8月初旬ということもあり、かなり暑い日でした。会場である奈良県社会福祉総合センターに予定よりも少し早く到着しましたが、思ったよりも大きな会場で、しかもかなりたくさんの方が参加されており、ちょっとびっくりしたのを思い出します。医学生は3年生~6年生まで幅広く、研修医の先生も含めると、参加者数はセミナーの定員よりもかなり多かったように思います
セミナーの内容は、我々学生の教育に重点を置いてくださっているために、放射線治療の歴史や基礎を中心にしながらも、最新のデータを取り交えて、とても勉強になる内容でした。高名な先生方がたくさん講演をしてくださり、一生懸命にノートを取りましたが、とても全部書ききれず、しかも覚えていられない自分が情けなかったです。約2日間、普段の大学の授業では聴くことができない講演を拝聴し、最終日は実際の治療計画を体験させていただき、放射線治療の魅力を再発見したような気がしました。
今回のセミナーを通して一番感銘を受けたことは、日本放射線腫瘍学会が学会一丸となって、後進の教育に取り組んでいらっしゃる姿です。高名な先生方がお忙しい中たくさん出席され、大変興味深い講演をしてくださり、さらには懇親会で我々学生と気軽に談笑してくださったことは本当に忘れがたいことでした。このようなアットホームながらも、堅実な努力をなさっている学会の雰囲気の中に、放射線治療の輝かしい未来を見たような気がします。
また、セミナーを通じて、たくさんの医学生の皆様と知り合うことができました。研修医の先生方からは近未来的に有意義な話をたくさん聞かせていただき、本当に有意義でした。
最後になりましたが、主催の日本放射線腫瘍学会教育委員会関係者の皆様、セミナー世話人の大石先生、セミナーを実際に運営してくださった事務局担当の玉本先生、長谷川先生をはじめとする奈良県立医科大学放射線腫瘍医学教室の皆様に心から御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
浜松医科大学医学部医学科6年 小西 憲太
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」(持統天皇)
「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」(安倍仲麿)
やっぱり奈良は風情があっていいなぁ・・・なんて思いつつも、なんと奈良に来るのは中学校の古都研修旅行以来で12年ぶりになります。
12年ぶりに奈良に来たのは「第11回医学生・研修医のための放射線治療セミナー」に参加するためです。参加するきっかけとなったのはポリクリ中に阪原教授に「君、治療に興味があるって言っとったな?こんなセミナーあるんやけど、他大学の人も来て楽しいと思うし勉強にもなるから行ってみたらどうや?」と言われたことです。それまではこのセミナーの存在すら知りませんでした。いちおう大学の掲示板にはポスターが張ってあったみたいですが。たしかに放射線治療には興味があり、セミナーの内容も魅力的でした。でもセミナーの開催時期はちょうど西医体(水泳)と重なっていました。西医体も6年間の最後の大会になるのでどっちに参加しようか迷いました。2週間近く悩んだ結果、セミナーの方を選びました。とは言いつつも西医体も捨てがたく、最初はセミナー参加に対してなかなか踏ん切りがつきませんでしたが、参加すると決めた以上は浜医の代表(というのは大げさですが・・・)のつもりでがんばろうと思いました。
僕はもともと腫瘍に興味があり、将来は腫瘍に関連する診療科(内科か放射線科)に進みたいと思っています。特に血液内科を中心にした化学療法か放射線治療の研究がしたく、その中でも放射線治療はまだまだ発展途上の段階で、今後もどんどん発展していくと思い将来性がある点、化学療法にも携われる点、ほぼ全身の腫瘍に対して治療を行うので、まさにがんの専門医として活躍できる点が魅力だと思います。
さあ、セミナー当日。結局浜松医大からの学生は僕だけ。誰も話し相手がいないままセミナー会場に着くと、そこには見るからに優秀そうな他大学の人たち、それから放射線界の重鎮と思しき偉い先生方の数々・・・。到着早々、「うわ~、こんなところで3日もやっていけるんかいな」と後悔したのを今でも覚えています。講義が始まると、興味はあるのですが、いかんせん知識がないので、僕にとっては睡眠誘発的言語の大名行列でハイレベルなものでした(汗)。いちおう学生向けらしいので、それは自分の勉強不足だと十分反省していますが。それでも学生にとって最新の話題に触れる機会はほとんどないので、それだけでもよかったと思っています。
それからこのセミナーでいいなって思った点は、他大学の先生方や学生との交流を深める企画が盛りだくさんだったことです。夜は毎日遅くまで先生方とお酒を酌み交わしながら、今後の人生に役立ちそうな?雑談を楽しみました。あっ、もちろん放射線治療についても熱く語っていただきましたよ(笑)。特に奈良医大の玉本先生と静岡がんセンターの全田先生の食道癌についてのディスカッションは白熱して聞いていて面白かったです。僕の中では食道癌の治療イコール手術or内視鏡切除という国家試験の最低限の知識しかありませんでしたので、これだけ熱く議論する姿を見て、やっぱり放射線治療って奥が深いなと思ったものです。最終日の実習では他大学の方と相談しながらシミュレーションを体験しました。このような実習はポリクリではやらなかったので非常に勉強になりました。また観光も飛鳥地方の有名な石舞台古墳と高松塚古墳を見学し、「やっぱり奈良はいいなぁ、さすがancient capital of Japanだな」と余韻に浸り癒されました。最後に修了証までいただき、無事にセミナーを終えることができました。
現在は卒業試験と国家試験の準備で、世間の6年生ほどではないにしろ勉強にいそしんでいます。今となってはセミナーの内容はちっとも覚えていませんが(すいません・・・)、放射線治療についてますます興味が湧き、将来の選択肢の一つとして大きく一歩前進したことだけは確かです。それだけでもセミナーに参加して良かったと思うし、放射線界の権威の先生方とお話できたのも貴重でした。また来年度も開催されれば後輩にも自信を持ってお薦めしようと思っています。先生方、他大学の皆さん、3日間お世話していただいて本当にありがとうございました。