井垣 浩
(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
優秀教育講演賞に選出していただき、身に余る光栄のお知らせを頂戴して、喜びと同時に畏れ多い気持ちでいっぱいになっております。JASTRO 学術大会での教育講演の機会を与えてくださった教育委員会の先生方と、私の教育講演を受講して評価してくださった先生方に心より感謝申し上げます。
昨年の教育講演で私が担当させていただいた「メラノーマと免疫療法」は、近年、薬物療法に関する多くのエビデンスが生み出されている一方、放射線治療についてはエビデンスレベルの高い報告は多くありません。しかし、免疫チェックポイント阻害薬の出現によって、従来は放射線抵抗性腫瘍の代表格とされていたメラノーマに対する放射線治療の役割が大きくなっているのは明らかであり、その分子生物学的根拠となる報告は確実に増えてきています。臨床的エビデンスが少ない中で、プラクティスとしての放射線治療を如何に有効な武器にできるかという観点で私が考えたことを教育講演の内容といたしました。この教育講演を高く評価していただいたのは、メラノーマに対する放射線治療の使い方に多くの先生方が悩んでいらっしゃる証と思われ、私の講演が少しでも先生方の日常診療のお役に立ったのであれば大変うれしく思います。私自身も、この教育講演を準備する中で改めて学びなおし、多くの知識を吸収する機会となりました。
今の自分があるのは、これまでお世話になった諸先輩方にご指導いただき、多くの同僚に支えていただいたお蔭であり、その恩に報いるためにも、若手の先生方への教育を大事にしてゆきたいとの思いを新たにいたしました。今後もますます臨床、教育、研究に邁進して参ります。この度は誠にありがとうございました。
伊藤 慶
(東京都立駒込病院 放射線診療科治療部)
脊椎SBRT に関する教育講演を行わせて頂きました駒込病院の伊藤慶です。この度はJASTRO 優秀教育講演賞という大変栄誉な賞にご選出頂き誠に有難うございます。
先日、プロ野球選手100 人が投票して〇〇No.1 選手(ストレート、長打力など)を決めるという企画を目にしました。今なら選ばれた選手の喜びがよく分かります。私も、放射線治療のプロフェッショナルである先生方にご選出頂けたこと大変光栄に感じております。しかも私のような育成出身選手が!です。
脊椎SBRTは2020 年に保険収載されました。加えて、オリゴ転移へのSBRTや疼痛緩和目的の脊椎SBRTにおいては、標準治療への優越性を示した試験結果も出てきました。実際に脊椎SBRTを行うと、しばしば感動的な場面に遭遇します。巨大な骨転移で痛み悶えていた患者が無痛になったり、孤立性脊椎転移の患者が5年無増悪生存を遂げたりするのです。
多くのご施設が脊椎SBRTを導入した、あるいは導入を検討されているかと思います。ぜひ日本中のご施設で「適切な患者」に「適切な方法」で本治療が施行されることを切に願っております。それに際し、私の講演が少しでもお役に立てたなら幸甚の至りに存じます。これからも脊椎SBRTの普及と発展に向けて精進いたす所存でございます。
これまで労力を要するこの治療を共に進めてきた脊椎SBRTチームのみんな(医師、物理士、技師、看護師)と喜びを分かち合いたいと思います。そして、我々の臨床・研究をいつも強力に後押ししてくれた唐澤克之先生にこの場を借りて感謝申し上げます。いつも部下の活躍を自分のこと以上に喜んでくれたので、今もきっと左手でガッツポーズを作って満面の笑みで祝福してくれていると思います。
いつも唐澤先生が診療していた1番診察室にて。
Highly Cited Awardの受賞おめでとうございます。JRR誌は、著者だけでなく、読者、そしてReviewer、Editorもたいへん日本の放射線治療に対する思い入れが強い雑誌ですので、アクセプトされた論文はどの論文も完成度が高いのですが、その中でもより多く引用されたことは、素晴らしい事だと思います。今後も素晴らしい論文をJRR誌にご投稿頂き、盛り上げて下さることを期待してやみません。
編集委員会 委員長 佐々木 良平
上薗 玄
(兵庫県立がんセンター)
この度は栄誉あるHighly Cited Award を頂き、誠にありがとうございます。2013 年にJ Radiat Res 誌に掲載された“Pelvic insufficiency fracture after definitive radiotherapy for uterine cervical cancer: retrospective analysis ofrisk factors” に対する引用件数をご評価頂きました。子宮頸がんに対する根治照射後の骨盤骨不全骨折が想像以上に起きていること、高齢や骨粗鬆症が関与していることを示唆する報告です。日本語論文の1 つも書いたことのなかった私に、研究・臨床の両面において情熱的な指導をして下さった辻野佳世子先生に深く感謝申し上げます。がんの征服につながるような意義深い研究を目指しつつ、同じ目的を持つ世界中の多くの研究者の方々のお役に少しでも立てるような研究を続けて行きたいと考えております。今回の受賞は今後につながる大きな励みになりました。学会理事長、大会長、編集委員長の先生方に心より御礼申し上げます。
白井先生の査読に対するご姿勢は、筋が通っておられて、誰からも納得される内容です。学問的なご示唆や、著者に対する指導的なコメント、など一貫して信頼度が高いことが、より多くの先生が白井先生に査読をお願いする理由だと思います。これからもJRR誌の科学的価値の向上や、JASTROの発展にその英知を降り注いで頂くことを期待します。
編集委員会 委員長 佐々木 良平
白井 克幸
(自治医科大学附属病院)
この度は優秀査読者賞と大変名誉のある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。このような機会を与えていただいた理事長、大会長、編集委員長の先生方には心より御礼申し上げます。私としましてはJRR の査読はJASTRO 会員としての務めであると思っておりまして、忙しい時でもできるだけお断りしないように心掛けておりました。結果的に、このような栄えある賞をいただけるとは望外の喜びです。
私が査読を担当する際に気を付けている事は、この論文が世に出た際に、より読者にとって有用な情報を含み、臨床実地において有益になってもらえればと思い、コメントをさせていただいています。私自身が論文を執筆する時もそうですが、一分の隙もないような完璧な論文は滅多に書けるものではありません。たとえリミテーションがあったとしても、臨床において重要な気づきを与えてくれる論文や、放射線治療分野において一遇を照らすような、きらりとアイデアが光る論文には、できるだけ採択してもらえればと思い査読を心がけています。
引き続きJRR 誌がさらなる発展につながるよう、微力ながら貢献させていただければと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
角谷先生の科学的な姿勢の素晴らしさは、広く認知されており、多くの先生方が査読を依頼された結果が今回の受賞に繋がったと思われます。毎年、多くのご貢献をJRR誌に対してもして頂いておりますが、JRR誌の科学性の向上に寄与して頂いていることは、本賞の授与だけでは語り尽くせないお仕事です。これからも医学物理をリードしていってください。宜しくお願い申し上げます。
編集委員会 委員長 佐々木 良平
角谷 倫之
(東北大学病院放射線治療科)
この度は、優秀査読者賞と名誉ある賞を昨年に引き続き頂くことができ、ありがとうございました。査読は、毎回投稿して頂く先生が、採択でも不採択でもその結果に納得して頂けるようなフェアな科学的見地からコメントするように心がけております。その中で、僭越ながら私が査読をするときに特に意識している点は、“ この論文が採択された時、多くの研究者がこの論文を引用するだろうか? ” という点です。具体的には、 “ この方法ではデータの信頼性は低くないか”、“ この結果からこの結論は言い過ぎではないか”、“ この目的だと先行研究とあまり違いがないのではないか”、というような目線です。引き続き、JRR 誌の発展に貢献し、本邦の放射線治療の学術の発展に貢献できれば幸いです。
最後になりますがこのような晴れがましい機会を頂きました佐々木編集委員長、茂松理事長、根本大会長をはじめ関係の先生方に御礼申し上げます。また、科学的見地を養うにあたり、日々私のつまらない議論に長くつきあってもらっています多くの共同研究者・同僚の皆様にも感謝申し上げます。
神宮先生のご意見を聞きたい、査読をお願いしたいという声が絶えません。そのため、ご多忙とは存じながらも多くのEditorのお仕事、Reviewerのお仕事を皆がお願いしてしまっております。神宮先生の広い見識と実直なご意見は、拝読する度にスカッとする内容です。これからもトップランナーとしてJRR誌の発展を引っ張って頂くようお願い申し上げます。
編集委員会 委員長 佐々木 良平
神宮 啓一
(東北大学大学院医学系研究科)
この度は栄誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございます。編集委員長である佐々木先生には心から感謝いたします。
日頃の査読が学会の役に立っているようでよかったです。これで3年連続受賞となり、我ながら査読を頑張ったなと思います。これからも学会誌であるJRRの発展に貢献したいと思っています。JRRのIFなどの向上が求められています。学会員の皆様がJRRに限らず、他の雑誌に投稿する際にJRRに掲載された論文を1本でも多く引用いただけることが重要と思います。自分たちの学会誌であるということを自覚され、自分たちで更によい雑誌となるようにご協力いただけることを切に願いします。また査読の依頼があった際にはできるだけ断らないようにしていただけますと幸いです。この度はありがとうございました。
教育的に優れる演題を顕彰するものです。
教育委員会委員で組織した選考委員会にて候補を選出し、第 34 回学術大会のプログラム委員会における査読結果も加味したうえで総合評価をおこない、若干数の演題を「優秀教育発表奨励賞」に決定いたしました。
受賞者については、後日教育委員会から賞状・記念品等の贈呈を予定しております。
教育委員会 委員長 内田 伸恵
O26-3 オリゴ脊椎転移に対する定位放射線治療
金田 朋也(国立がん研究センター中央病院)
O28-7 小児髄芽腫根治治療における永久脱毛に関する皮下放射線量閾値の検討
鳥塚 大地(京都大学放射線腫瘍学・画像応用治療学)
O31-2 放射線治療が奏功した小児退形成性星細胞腫(gliomatosis cerebri pattern)の一例
阿南 慎平(和歌山県立医科大学放射線医学講座)
O31-7 緩和照射およびメトトレキサート髄腔内投与により発症した放射線脊髄症
福田友紀子(自治医科大学附属病院)
O31-9 陰茎癌mucoepidermoid carcinomaに対する過酸化水素増感療法を用いた放射線治療の一例
植 敦士(島根大学医学部放射線腫瘍学講座)
O31-15 腎細胞癌のSister Mary Joseph’s noduleに対して緩和的小線源治療を施行した1例
平田希美子(京都市立病院 放射線治療科)
O31-17 椎体線量の均一化を図ったが脊柱側弯症を発症した小児胸部腫瘍の3症例
加納 希生(神奈川県立こども医療センター/神奈川県立がんセンター放射線治療)
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優秀教育講演賞は、会員の生涯教育に資する優秀な講演をおこなった講師を顕彰するものです。前年度の講演を対象に、受講者アンケートの結果を踏まえて選出しています。受賞者の井垣浩先生、伊藤慶先生は内容、スライドのわかりやすさ、話し方、総合評価いずれも高評価でした。また、講演テーマ「メラノーマと免疫療法」「脊椎SBRT」いずれも、受講者のニードにマッチしたものであったと思います。お二人のますますのご活躍を祈念いたします。
教育委員会 委員長 内田 伸恵