- 日本放射線腫瘍学会第32回学術大会
- 大会長 芝本 雄太
名古屋市立大学大学院医学研究科 放射線医学分野 主任教授
この度、日本放射線腫瘍学会第32回学術大会を、2019年11月21〜23日に名古屋国際会議場にて開催させていただくことになりました。本学術大会の名古屋での開催は、1994年に愛知県がんセンター名誉院長の森田皓三先生が第7回大会を開催されて以来、24年ぶり2回目のこととなります。故高橋信次先生のご功績により名古屋は原体照射の発祥の地と言われておりますが、2004年以降この地でも高精度放射線治療は着実かつ飛躍的に発展しました。現在47都道府県の中で、愛知県は放射線治療におけるIMRTの比率が最も高い県となっています。
治療技術の発展の結果、X線を用いた定位照射やIMRT、さらに最近では粒子線治療を用いて、種々のがんを切らずに完治させることが可能となってきました。このような現状を踏まえて、今回の学術大会のテーマは、正攻法で「切らずに治す癌治療〜現時点での集大成と将来展望〜」としました。様々ながんについて最新のデータを出していただき、従来の治療法と比較して放射線療法(±薬物療法)の特徴・利点をアピールできればと願っております。こういった学会活動が、高い生活の質の維持したがんの治癒というがん患者さんにとって最良の結果に繋がっていくことを期待したいと思います。
本学術大会では、メインである最先端放射線治療や化学/免疫療法との併用療法以外に、長年のテーマとしてきた放射線生物学、また近年当教室がテーマとしている低線量放射線の影響についても取り上げたいと思います。放射線治療のさらなる発展には、今後放射線生物学が益々重要になると考えております。また最近、低線量の放射線被曝は生体に刺激を与えて良い効果をもたらすという基礎研究の成果が爆発的に増えてきており、もはや低線量被曝が害をもたらすようなことはありえないと考えるに至りました。こういった研究成果をできるだけ多くの方々に知っていただくために、国内外の識者を招いて最新の知見をお話ししていただく予定です。
日本放射線腫瘍学会学術大会は最新の学術情報を交換する場でありますが、会員・参加者間の交流においても重要な場と考えられます。情報交換会では趣向を凝らした催しも企画しております。名古屋における第3の中心地である金山から名古屋国際会議場は1駅と近く、また最大の繁華街である栄・錦地区まで地下鉄で4駅です。名古屋独特の食文化や雰囲気をぜひお楽しみいただけたらと思います。できるだけたくさんの皆様にお集まりいただき、盛大な学術大会になりますことを教室員一同祈っております。皆様のお越しをお待ちいたします。