ご挨拶
この度、日本放射線腫瘍学会小線源治療部会第23回学術大会を三重大学の主催でお世話をさせて頂くことになり大変光栄に存じます。
放射線治療は、著しい技術革新により定位放射線照射、強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療などの高精度放射線治療が発展をとげてまいりました。以前は職人芸的な面もあった小線源治療も、高精度小線源治療の時代に移行し、画像誘導小線源治療(IGBT)による適正な線源配置が可能になり、線量分布やDVHを用いて職人芸ではなく客観的に適切な治療が行えるようになってきました。
こうした高精度小線源治療が普及するにつれ、複雑化した治療の品質保証、および安全性の担保のために、医師、技師、物理士、看護師などの小線源治療に携わるスタッフの知識のupdateがますます重要となってきました。また、小線源治療に不可欠なアプリケータの挿入時や組織内照射の針の刺入時に生じる患者さんの苦痛を取り除くためには、鎮痛・鎮静の知識の習得が重要となってきています。
そこで今回は、「わざの伝承を考える -技術と技能の教えと学び-」を大会のテーマとさせて頂きました。高精度小線源治療の時代を迎え、治療のよしあしが客観的に評価できるようになったとはいえ、経験豊富な熟達者からコツを学ぶことは大切であり、従来から本学術大会の目的のひとつであると考えております。わざは伝承しなければ消えてしまいます。小線源治療が生き残るためにも「わざの伝承を考える」、つまり、技術と技能をいかに教え、学んでもらうのかを考えていかなくてはならないと思います。このようなテーマを念頭におきつつ、これまでの小線源治療の成果や今後の展望について熱く議論ができる場をご提供できればと思っております。
三重には海山の豊かな自然に恵まれた明るい風土があります。この三重の地において、小線源治療について語り合う場をご提供できることを幸甚に存じます。ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。
日本放射線腫瘍学会小線源治療部会
第23回学術大会
当番世話人 野本 由人