ご挨拶
日本放射線腫瘍学会小線源部会第22回学術大会を, 令和2年5月29~30日に千葉市で開催させていただくことになりました。歴史と伝統のある小線源部会をお世話させていただくことは大変光栄に存じます。
小線源治療は、経験豊富な限られた熟達者による職人芸的治療から、外部照射と同様にコンピュータ技術、画像診断技術を取り入れた高精度小線源治療に移行してきました。先人達の医療人としての優れた姿勢や技術を学び、継承するとともに、画像誘導小線源治療(IGBT)による線源配置や線量分布の可視化、DVHパラメータによる客観化等を通して、高精度小線源治療の標準化・治療技術の均てん化が推進されています。また、複雑化した治療の品質保証、侵襲に伴う苦痛の軽減など高度な治療技術を安全に提供するために医師、技師、物理士、看護師などからなる多職種によるチーム医療へとその診療形態も変わりました。しかし一方では、治療装置普及の停滞やマンパワー不足等で、腫瘍制御に強力なツールである小線源治療をがん患者の方々に十分に提供できていない現状も覗い知れます。
AI導入が目前に迫る現代の医療にあっても、小線源治療は、放射線腫瘍医とそのチームが個々の患者のがんと対峙する姿勢、そして患者に寄り添った医療を実践することが強く求められる、最高の臨床現場であり続けます。今大会のテーマは、医療の原点に立ち戻り「気合で治す!小線源治療~患者に寄り添う究極のAdaptive Radiation Therapy~」とさせていただきました。熱い心と冷静な頭脳そして最新の技術を駆使して治療を実践する第一線の臨床現場から、これから治療を導入・拡充する施設まで、皆でこれまでの成果や今後の展望について議論できればと期待しております。
日本放射線腫瘍学会
小線源治療部会第22回学術大会
宇野 隆
(千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学 教授)