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No.221
局所進行上咽頭癌でもっともよい治療法はなにか? 個別患者データのネットワークメタ解析

What Is the Best Treatment of Locally Advanced Nasopharyngeal Carcinoma? An Individual Patient Data Network Meta-Analysis

Ribassin-Majed L, Marguet S, Lee AW et al.
J Clin Oncol. 2016 Dec 5:JCO2016674119. [Epub ahead of print]

背景・目的

局所進行上咽頭癌に対する追加化学療法(AC)、導入化学療法(IC)および放射線療法/化学放射線療法(RT/CRT)の組み合わせについては最適なものは依然として議論の余地がある。そこで化学療法を実施した上咽頭癌患者のメタアナリシスのデータベースを用いて、解析可能な治療法すべてを比較検討した。

方法

検討した治療方法は以下の 7群のカテゴリーに分類された。

  1. RT
  2. IC-RT
  3. RT-AC
  4. IC-RT-AC
  5. CRT
  6. IC-CRT
  7. CRT-AC

20の臨床試験に登録された5114例を検討対象とし、ネットワークメタアナリシスモデルにより解析し、それぞれの治療法をエンドポイント(全生存、無病生存、局所制御、遠隔制御)毎にP値でランク付けを行った。

結果

全生存ではCRT-AC, CRT, IC-CRTのランクが高かった。CRTのみはいずれのエンドポイントにおいてもランクが1位にはならなかった。化学療法のレジメが多いほど、急性期毒性リスクの上昇が見られた。

結論

CRTに引き続くACがもっともサバイバルベネフィットがあり、すべてのエンドポイントで一貫して予後が改善していた。また遠隔制御についてはICに引き続くCRTが最も良い効果を示した。

コメント

メタ解析は無作為比較試験(RCT)を総合的に解析する手法として最もエビデンスレベルが高いとされているが、RCTではhead-to-head(直接比較)での解析が原則であり、治療方法が多岐にわたる場合、これらを総合的に解析することが困難である。ネットワークメタ解析(NMA)はそれぞれの治療法について同時に解析することができる統計学的手法として、近年その報告が各領域で増加している。

NMAは一見極めて夢のような解析方法ではあるが、対比較のメタアナリシスを単純に拡張しただけと考えるのは危険とされており、解析対象の試験間の類似性、比較結果の一致性、そして解析結果そのものの批判的吟味が必要と言われている。

上咽頭癌治療のネットワークメタ解析はこれまで4つの報告がある。筆者らは自らの結果の解釈だけでなく、これらの報告と上記の点において比較・検討を詳細に行っている。また自らの報告の限界についても十分な検討を行っており、JCOに採用されるに足る論文と思われる。

(九州大学保健学科 佐々木智成)

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