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No.216
前立腺全摘除術後の救済放射線治療に短期間ホルモン併用あり/なしを比較した第III相試験(GETUG-AFU16)

Salvage radiotherapy with or without short-term hormone therapy for rising prostate-specific antigen concentration after radical prostatectomy (GETUG-AFU 16): a randomised, multicentre, open-label phase 3 trial.

Carrie C, Hasbini A, de Laroche G, et al.
Lancet Oncol. 2016 Jun;17(6):747-56

背景

前立腺全摘除術後の生化学的再発に対する最善な治療方法は昨今の臨床的疑問である。救済放射線治療は、長期アンドロゲン抑制などの積極な治療の必要性を遅らせることは出来るが、利益を享受できるのは半数未満である。
救済放射線治療に短期間ホルモン療法を併用し生化学的制御や全生存率の改善ができないかを検討するため本臨床試験を施行した。

対象と方法

対象は、前立腺全摘除術後、生化学的再発した患者。病理病期診断は pT2, T3, T4(膀胱頚部浸潤のみ), pN0, NX。術後 PSA<0.1μg/Lの期間が6か月以上、照射時 PSAが0.2以上2.0μg/L未満、かつ臨床的再発が認められない症例とした。患者は、照射単独群とホルモン併用群に1対1で無作為に割り付けられた。
放射線治療は前立腺床に3D-CRTもしくはIMRTで66Gy/33frの照射。但し、T3bでは精嚢領域に50Gy/25fr、リンパ節未郭清例でかつPartin Tablesリンパ節浸潤リスク>15%では骨盤領域に46Gy/23frを照射した。ホルモン併用群ではGoserelin 10.8mgを照射初日・3ヵ月後の2度皮下注投与した。
主要評価項目は無増悪生存期間。5年無増悪生存割合が放射線治療単独群45%に対して、ホルモン療法併用群で60%と仮定。α=0.05(両側検定)、検出力90%として必要症例数738例と決定。ITT法で解析を行った。

結果

2006年10月から2010年3月までに743人(放射線治療単独群374例、ホルモン併用群369例)が割り付けられた。観察期間中央値は63ヶ月(56-75)。5年無増悪生存割合は照射単独群で62%(95%CI 57-67)、ホルモン併用群で80%(75-84)、HR 0.50 (95%CI 0.38-0.66, p<0.0001)。5年全生存率は照射単独群95%  (92-97)、ホルモン併用群96%(93-98)、HR 0.7 (95%CI 0.4-1.2, p=0.18)。急性期有害事象は、ホルモン併用群でGrade2以上のホットフラッシュを30例(8%)に認め、照射単独群では認めなかった。Grade 3以上の晩期有害事象は、泌尿器系の副作用が照射単独群で29例 (8%)、ホルモン併用群で26例 (7%)であり、性機能障害はそれぞれ20例 (5%)、30例 (8%)であった。

結論

前立腺全摘除術によって、一定期間の生化学的制御が得られた症例に、PSA再発が認められた場合、救済放射線治療へ短期間ホルモン療法を上乗せすることは有益である。同対象において、短期間のホルモン療法の併用は治療の選択肢の1つと成り得る。

コメント

前立腺全摘除術後 PSA 再発例に対する標準的な補助療法は確立されていないものの、救済放射線治療の有用性については複数の報告がなされている。
 この試験は、Primary endpoint である無増悪生存期間に関して、放射線単独群と比較しホルモン療法併用群で有意な延長が認められた positive studyである。しかし、全生存期間に有意差を認めず、本試験治療を日常臨床に外挿するかの判断は悩ましい。
 一方、RTOG 9601試験では、2年のホルモン療法併用群で照射単独群と比較し、全生存期間の有意な延長が示された1。しかし術後 PSA高値を維持した症例や、照射時PSAが1.6μg/L以上4.0μg/L未満の症例 (15%)など、GETUG-AFU16試験には登録できない高リスク症例が含まれており、対象および治療法(ホルモン療法の種類・期間)が異なっている点に注意すべきである。
 RTOG 0534, RADICALS trial などの比較試験の結果が待たれるところではあるが、現時点における前立腺全摘除術後の生化学的再発に対する放射線治療に関しては、患者の背景因子、ホルモン療法の種類や期間、放射線治療の時期や方法など検討課題が依然として多く存在し、この試験の結果から即ホルモン療法併用を日常臨床で施行していくには慎重な検討が必要である。

PMID:  27160475
Evidence Level Ib
 

(がん感染症セ・都立駒込 布施かおり)

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