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No.192
陽子線と光子線治療を受けた患者間での二次性悪性腫瘍の発生率

Incidence of second malignancies among patients treated with proton versus photon radiation.

Chung CS, Yock TI, Nelson K, Xu Y, Keating NL, Tarbell NJ.
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2013 Sep 1;87(1):46-52.

目的

陽子線治療は光子線治療と比較して、隣接する重要組織への線量を減少させ腫瘍に高線量を照射できる。米国における陽子線施設の最近の展開を考えると、陽子線治療の長期的な後遺症を注意深く評価すべきである。本研究の目的は、陽子線治療を受けた患者と、人口に基づくコホートで対照した光子線治療患者の二次がんの発生率を比較することである。

方法

1973年から2001年までにケンブリッジのハーバードサイクロトロンで陽子線治療を受けた558例とSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)から抽出した光子線治療の対照患者を比較解析した。患者は放射線治療時の年齢、性別、治療年、病理組織型、部位で対照させた。主要転帰尺度は、放射線後の二次性悪性腫瘍の発生率とした。

結果

治療後の経過観察期間の中央値は、陽子線治療患者と光子線治療患者それぞれで、6.7年(四分位範囲、7.4)と6.0年(四分位範囲、9.3)であった。治療時の年齢の中央値は、両群とも59歳であった。二次性悪性腫瘍は陽子線治療で29例(5.2%)と光子線治療で42例(7.5%)に発生していた。性別、治療時の年齢、原発部位、診断年を調整した結果、陽子線治療は、二次悪性腫瘍のリスク増加(調整ハザード比0.52[95%信頼区間、0.32から0.85]、 P =009)と関連していなかった。

結論

陽子線治療は、光子線治療と比較して二次悪性腫瘍のリスクの有意な増加と関連していなかった。二次悪性腫瘍の有意な減少があるか判断するにはさらに長期の経過観察が必要である。研究の限界を考えると、これらの結果は、仮説生成と見なされるべきである。

コメント

放射線治療後の二次がん(肉腫を含む悪性腫瘍)研究で難しいのは、放射線誘発がんの判断である。二次がんの殆どは放射線治療と関連のない発がんであり、この研究でも明らかに放射線発がんと判断できる症例は両群共になかったと書かれている。小児患者の二次がんも両群共に報告されていない。また、陽子線治療は習熟したスタッフにより高精度に施行されているが、対照とした光子線治療患者はSEER登録の患者であり様々な施設のデータが含まれている。さらに今回の比較では照射範囲についてのデータが検討されていない。
Bekelman JEが同号のP10-12のEditorialでこの論文に関して追加解析を試みている。それによれば人年法では5年以内に以降に発生した二次性悪性腫瘍は光子線群で2倍以上だったが、5年以降ではほぼ同等であった。
今回の解析から言えることは、かつて速中性子で報告されたような肉腫の増加などは、陽子線では見られなかったと言うことであろう。
(放射線医学総合研究所 唐澤久美子)
 
Evidence level -
PMID: 23778197

(放射線医学総合研究所 唐澤久美子)

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