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No.188
RTOG 91-11の長期結果: 局所進行喉頭癌患者における喉頭温存非手術的治療3群比較

Long-term results of RTOG 91-11: a comparison of three nonsurgical treatment strategies to preserve the larynx in patients with locally advanced larynx cancer.

Forastiere AA, Zhang Q, Weber RS, et al.

J Clin Oncol 31(7):845-852, 2013

目的

喉頭温存を目的とした、放射線療法に化学療法を追加する意義を評価したRTOG 91-11の長期結果の報告。

方法

StageIII, IVの声門あるいは声門上扁平上皮癌患者を導入化学療法群(IC; CDDP+5-FU→RT)、同時化学放射線療法群(CCRT; RT+CDDP)、放射線療法単独群(RT alone)に無作為に振り分け、無喉頭切除生存割合(laryngectomy-free survival: LFS)をprimary endpointとした。

結果

解析対象は520人。生存患者の観察期間中央値は10.8年。IC群、CCRT群は共にRT alone群に比べて、LFSが有意に改善した(IC vs. RT alone: HR 0.75; 95%CI 0.59-0.95; p=.02;  CCRT vs. RT alone: HR 0.78; 95%CI 0.78-0.98; p=.03)。

全生存割合は3群で差はなかったが、IC群に比べCCRT群で悪い傾向であった(HR 1.25;95%CI 0.98-1.61; p=.08)。

喉頭温存割合に関して、CCRT群はIC群, RT alone群に比べ有意に改善がみられたが(CCRT vs. IC: HR 0.58; 95%CI 0.37-0.89; p=.0050), (CCRT vs. RT alone; HR 0.46; 95%CI 0.30-0.71; p<.001)、IC群はRT alone群に比べ、有意差はなかった(HR 1.26; 95% CI 0.88-1.82; p=.35)。

晩期有害事象は3群で差はなかった。原病または治療に関連しない死亡の割合はCCRT群で高かった(CCRT:IC:RT alone = 30.8%:20.8%:16.9%)。

結論

IC群、CCRT群ともLFSについては同等の結果であった。局所領域制御割合、喉頭温存割合はCCRT群で有意な改善がみられた。より有害事象が少ない、臓器機能温存を向上させる新たな治療戦略が望まれる。

コメント

RTOG 91-11の2003年NEJM (N Engl J Med. 349(22):2091-8, 2003) の報告は観察期間中央値が3.8年であったが、今回の長期報告において全生存曲線はCCRT群で4.5年を超えたあたりからIC群との解離がみられている。原因として、原病や治療に関連しない死亡が多く、観察された晩期有害事象では差はないが、誤嚥性肺炎や心肺障害の関連があった可能性がある。但し、本試験は20年前の開始で2次元治療計画の結果であり、3次元治療計画やIMRTの導入によって晩期有害事象を軽減できる可能性がある。

近年、導入化学療法の治療開発が進んでおり、TPF療法とPF療法を比較したTAX323、GORTEC 2000-1 (TPF→RT vs. PF→RT)から導入化学療法の標準はTPF療法と考えられている。導入化学療法に引き続いて化学放射線療法を用いたTAX324 (TPF→CCRT vs.PF→CCRT)からもTPF療法が全生存割合で上回る結果であった(但しCCRTではCBDCA使用)。本試験では導入化学療法にPF療法を用いている点で、また、 導入化学療法に引き続いた化学放射線療法を用いた群が含まれていない点でも解釈に注意を要する。
2012年のASCOでは、同時併用化学放射線療法と導入化学療法に引き続く化学放射線療法を比較したPARDIGM trial、DeCIDE trialの結果が報告され、いずれも導入化学療法群が同時併用化学療法群を全生存割合で上回る結果は得られていない。

しかし、死亡もイベントとしている無喉頭切除生存割合の観点でいえば、導入化学療法に引き続く(化学)放射線療法は検討の余地のある治療戦略かもしれない。

(国立がん研究センター中央病院 関井修平/伊藤芳紀)

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