理事長挨拶

JASTRO理事長就任にあたって

公益社団法人 日本放射線腫瘍学会
理事長 茂松 直之

2016年12月

 第29回日本放射線腫瘍学会(JASTRO)学術大会に際して行われた理事会で、JASTRO理事長を拝命いたしました。1988年にJASTROは日本での放射線腫瘍学の発展を願い設立され、2008年に一般社団法人、2012年に公益社団法人となり、2013年日本医学会分科会に加盟しました。28年の歳月を経て2015年末の段階で、会員数は3700人を超え、放射線治療専門医は1000人を超えました。Journal Radiation Research(JRR)のインパクトファクターは近年では1.5-1.8となり、国内の腫瘍関係の重要な学会誌と認められております。
 28歳という年齢は、これまでの経験を活かし、独り立ちをして社会に貢献ができる時で、これからがさらに大きく開花できる時期だと思います。JASTROの、患者さんやご家族、オンコロジーボード、関連国内・国際学会に対する社会的・倫理的責任は、極めて重要と考えております。
 平岡眞寛初代理事長が、JASTROの公益社団法人化、会員制度の改革等様々なご努力で、基盤整備と社会的地位の獲得を達成いたしました。西村恭昌前理事長のご努力で、さらなる財政基盤の安定、新専門医制度における方針確定、陽子線・炭素線治療の保険適応確定、さらに放射線治療の広報ビデオ作成など、様々な面でJASTROが大きな展開を致しました。
 放射線治療分野では、ここ10年で治療計画機器・治療装置が目覚ましく進歩し、定位放射線治療・強度変調放射線治療・画像誘導放射線治療が行える施設数は増大し、陽子線・炭素線治療の施設も増加しております。放射線治療に関わる、治療専門医師だけでなく、医学物理士、専任技師・看護師も着実に充実しています。
 欧米では癌患者に対して放射線治療が行われる割合は60-70%です。疾患構造も異なり、算出法も違いますが、日本では25-30%とされております。癌治療の三本柱とされている放射線治療が日本では残念ながら定着しているとは言えず、今後は、西村先生の活動を受け継ぎ、他科医師・患者さん・一般の方々への広報活動を展開し、放射線治療の適応拡大を目指し、放射線腫瘍学の新たな展開に邁進したいと考えます。

1) 学会活動
 毎年秋の学術大会が会員にとって重要な学術活動の場であり、JASTROの最大の事業です。大会長と協力して、研究・臨床・教育の場を提供し、会員の皆様に満足していただけるよう努力します。小線源治療部会・生物部会・高精度放射線外部照射部会の学術大会、制癌シンポジウムを開催し、各分野の会員の活動を支援します。JRRを年6回、JASTROの活動を会員に紹介するニュースレターを年4回刊行します。米国放射線腫瘍学会(ASTRO)、欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)だけでなく、中国放射線腫瘍学会(CSRO)、韓国放射線腫瘍学会(KOSRO)、アジア放射線腫瘍連盟(FARO)との協調を深めてゆきます。

2) 臨床活動
 治療計画機器・治療装置が進歩し、定位放射線治療・強度変調放射線治療・画像誘導放射線治療が行える施設数は増大し、陽子線・炭素線治療の施設も増加し、放射線治療に関わる、治療専門医師、医学物理士、専任技師・看護師も充実してきています。今後の放射線治療医の役割は核病院のキャンサーボードで放射線治療の重要性を指摘し、癌関連学会で放射線治療の優位性を主張してゆくことが重要です。さらに、各種がん治療ガイドラインの作成において放射線治療医が必ず関わってゆくことが必須で、そのためには、関連学会における放射線治療医の数を増大させ、それぞれの学会での臨床研究に深くかかわる医師の育成を進めたいと考えます。

3)研究活動
 全ての医学分野で基礎研究・臨床研究が極めて重要であることは間違いありません。基礎研究に関しては、これまでも放射線物理学・生物学を部会で広く深く探求しており、今後はJASTROの指導で基礎研究の幅を増大し、さらに独自の臨床研究を進めてゆきたいと思います。

4)教育活動
 医学生・研修医セミナー、看護セミナー、放射線治療医に対する講習会はもとより、学術大会での教育講演や、ESTROスクール等の充実に努めたいと思います。医学物理士・放射線治療品質管理師・放射線治療専門放射線技師・がん放射線療法認定看護師の人材育成を進めます。