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第1回小線源部会 (1999年)


日 時1999 6 5 日(土)9001400

場 所:東京お茶の水・ホテル聚楽(2 階 孔雀の間)
     東京都千代田区神田淡路町 2−9 Tel:03−3251−7222

世話人:山下 孝 (癌研付属病院)

 

 

1.高線量率組織内照射による舌癌の治療経験

     千葉県がんセンター 放射線治療部   幡野和男,酒井光弘,荒木 仁

2.舌癌高線量率組織内照射の初期経験

     国立病院九州医療センター 放射線科  上原 智

     北九州市立医療センター 放射線科  三好真琴

3.高線量率イリジウム線源による舌癌の組織内照射 

     浜松医科大学 放射線科  西村哲夫,野末政志,鈴木一徳,今井美智子,

     阪原晴海

4.舌癌に対する高線量率と低線量率組織内照射

     大阪大学大学院医学系研究科附属バイオメディカル教育研究センター放射線治  

     療学研究部    井上武宏,井上俊彦,山崎秀哉,田中英一,吉田 謙,塩見浩也,

     今井 敦,吉岡靖生,中村聡明

     大阪大学歯学部 歯科放射線学   古川惣平

     大阪歯科大学 歯科放射線科    清水谷公成

5.30Gy程度の外部照射はT2N0の潜在的リンパ節転移を予防できるか?

     広島大学医学部 放射線科  赤木由紀夫,広川 裕

     山形大学医学部 放射線科  濱本 泰

     信州大学医学部 放射線科  小口正彦

     九州大学医学部 放射線科  國武直信

6.腔内照射を用いた表在性食道癌の放射線治療成績

     信州大学医学部 放射線医学教室  鹿間直人,小口正彦,篠田充功 

      長野赤十字病院 放射線科  岡崎洋一,荒川和清

7.食道癌の高線量率腔内照射

     横浜市立大学附属浦舟病院 放射線科    渡井喜一

     横浜市立大学医学部 放射線科    板垣麗子,小池 泉,幡多政治,横山浩子,

     荻野伊知朗,松原 升

8.食道表在癌に対する高線量率腔内照射の再発様式

     広島大学医学部 放射線科  広川 裕,赤木由紀夫,伊藤勝陽

 

 

日本放射線腫瘍学会小線源治療部会第1回総会議事録

 

 日 時:1999年6月5日(土) 13:00〜14:00
場 所:ホテル聚楽(東京・お茶の水)
議事概要
 1 .母里知之日本放射線腫瘍学会会長の挨拶。
 2 .井上俊彦部会長から小線源治療部会設立の経緯を含めた内容の挨拶があった。
 3 .池田  恢世話人から小線源治療部会規約の説明があり,数カ所訂正ののち了承された。
 4 .井上俊彦部会長から部会長,代表世話人,世話人,幹事,監査役について提案があり了承された。
 5 .年会費について,山下  孝代表世話人から年会費2,000円とする提案があり了承された。
 6 .次期年次総会を池田  恢世話人の下で,2000年の 6 月10日(土)に行うことにした。
 7 .今後,JASTRO newsletterも活用して会員の募集を行うことにした。
 8 .小幡会員より,ROP研究会(代表 小幡康範,事務局 兼松メディカルシステム株式会社)を小線源治療部会に合流することが提案され,了解された。
 9 .小線源治療部会の事務局は規約通り,放射線腫瘍学会事務局に置くことにした。
                                                              (代表世話人 山下 孝)

 

 

日本放射線腫瘍学会小線源治療部会第1回幹事会議事録

 


日 時:1999年7月1日(木) 15:30〜17:30
場 所:横浜市医師会第 1 会議室
出席者:井上(部会長),山下(代表世話人),
土器屋,西尾,広川,池田
議事概要
 1 .第 1 回研究会報告(山下代表世話人)
 1999年6月5日(土)東京 参加者数115名,議事録,規約,役員の変更などにつき承認した。
 名簿管理と財務管理については事務局で行なう(名簿作成は広川が担当)。
 2 .第 2 回研究会について(池田)
会期:2000年6月10日(土)の予定,会場:未定
当番世話人:池田 恢(国立がんセンター東病院)
内容:公募演題はポスターを主体とし,その他,シンポジウム,各種報告事項(法改正,GEC-ESTRO,ICRU 58,構造調査報告)などを取り上げる。メーカー側からのワークインプログレス,ユーザースミーティングも同一日に行う。
 3 .本年の活動方針,その他
(1)小線源治療施設の構造調査(HDR,LDR)を最重要の事項とする。
(2)会員(会員,准会員,賛助会員)の把握と啓蒙活動を行う。
(3)部会の海外とのリエゾン:井上部会長,広川,財務担当幹事:山下。
(4)賛助会員を募る。趣意書の作成:池田
(5)小線源講習会(12月 3 日)を開催することになった(JASTRO共催)。

 

 

 

 

第1回小線源部会研究会抄録

 

1.高線量率組織内照射による舌癌の治療経験

 

千葉県がんセンター 放射線治療部   幡野和男,酒井光弘,荒木 仁

 

 19966月から199812月までに当科において根治照射を行った舌癌15症例について治療成績および問題点を検討した。男14例,女1例であり,平均年齢は60歳(3079歳)であった。T1N01例,T2N012例,T3N01例,T3N2c1例であった。組織型は全例扁平上皮癌であり,内向性発育型12例,外向性発育型3例であった。小線源治療単独は5例,外照射との併用は10例であり,前者では1回3Gy1日2回で計57Gy,後者では外照射を3051.2Gy先行させ,その後組織内照射を追加する方法をとった。潰瘍発生を6例(40%)に認めた。1例において広範な壊死を伴う重篤な潰瘍となったが,その他は1〜2カ月以内に改善した。治療後,頸部リンパ節転移は5例に認められたが,いずれも頸部廓清術を行い全例生存中である。

 

2.舌癌高線量率組織内照射の初期経験

 

国立病院九州医療センター 放射線科  上原 智

北九州市立医療センター 放射線科  三好真琴

 

 当施設で最近1年6カ月間にN0舌癌16例(oral tongue 15例,base of tongue 1例)に対し高線量率組織照射を施行した。症例は全例扁平上皮癌,T1−4例,T2−9例,T3−3例,男女比1:1,平均年令57(3184)であった。線源用カテーテル留置時,局麻剤にBLM5r使用,照射は1回5Gy,1日2回で,手術操作によるインプラントを防止のため,最初の4回はカテーテル走行全域を含み20Gy照射,以後腫瘍部のみに絞り総腫瘍線量は5065Gy(中央値55Gy)とした。また各照射時,可及的に綿花によりspacingを行った。以上の局所制御,障害等について初期経験を報告する。

3.高線量率イリジウム線源による舌癌の組織内照射 

 

浜松医科大学 放射線科  西村哲夫,野末政志,鈴木一徳,今井美智子,阪原晴海

 

【目的】舌癌に対する高線量率イリジウム線源の分割組織内照射の治療結果を解析する。

【対象・方法】9210月より981月までに治療した30例の舌癌を対象とした。いずれもN0T13例,T2a (≦30o)10T2b (≦40o)13例,T34例であった。腫瘍の厚みは≦10o:21例,>10o:9例であった.また19例に対して化学療法(全身:3例,動注:16例)を照射前に実施した。線量は線源より5oに60Gy/10回:15例,55Gy/10回:7例,54Gy/9回:3例,50Gy/10回:5例とした。化療併用では線量を減らした。

【結果】局所制御はT12/3T2a8/10T2b10/13T34/424例(80%)に得られた。骨の合併症はスペーサを挿入出来なかった初期の治療の2例に見られた。舌の潰瘍は6例に見られたが内5例は60Gyで治療した症例であった。

【結論】高線量率線源による組織内照射法は舌癌に対する根治的治療法と考えられる。

 

4.舌癌に対する高線量率と低線量率組織内照射

 

大阪大学大学院医学系研究科附属バイオメディカル教育研究センター放射線治療学研究部    井上武宏,井上俊彦,山崎秀哉,田中英一,吉田 謙,塩見浩也,今井 敦,吉岡靖生,中村聡明

大阪大学歯学部 歯科放射線学    古川惣平

大阪歯科大学 歯科放射線科    清水谷公成

 

【目的】舌癌の高線量率組織内照射(HDR)と低線量率(LDR)の比較検討を行った。

【方法】19924月から199612月までに登録された,T1-2N0で一平面刺入が可能な59例のうち評価可能な51(LDR26例,HDR25)を対象とした。LDRIr-192ヘアピン,HDRIr-192マイクロセレクトロHDRで治療を行った。総線量はLDR6576Gy/39日,HDR60Gy/10/610日であった。

【結果】2年,5年の局所制御率はLDR88%,HDR92%であった。Cause-specific Survival(CSS)LDRが2年91%,5年83%であり,HDRは2年92%,5年87%であった。有害事象としては3月以上続く舌の潰瘍あるいはびらんがLDRHDR共に1例に認められた。下顎骨の骨露出はHDRの2例に認められた。1例はスペーサが使えなかった例であり,1例もスペーサが十分に入らない後方部に出現した。

【結論】高線量率組織内照射は低線量率と同等の効果が得られた。

5.30Gy程度の外部照射はT2N0の潜在的リンパ節転移を予防できるか?

 

広島大学医学部 放射線科  赤木由紀夫,広川 裕

山形大学医学部 放射線科  濱本 泰

信州大学医学部 放射線科  小口正彦

九州大学医学部 放射線科  國武直信

 

【背景】組織内照射に先行して行われる外部照射はの意義は不明である。

【目的】「30Gy程度の外部照射はT2N0の潜在的リンパ節転移を予防できるか?」という命題に関する症例調査を計画し,この命題の結論を全国規模の調査により明らかにする。

【対象・方法】19801994年にT2N0舌扁平上皮癌に対して組織内照射を行った症例に対して,生存率・局所制御率・リンパ節再発率について調査し,外部照射併用の有無で比較した。

【結果】4施設に対してアンケート回答の内諾は得られ,現在症例調査中である。このデータを分析した上で,さらに大規模な全国調査を企画している。

 

 

6.腔内照射を用いた表在性食道癌の放射線治療成績

 

信州大学医学部 放射線医学教室  鹿間直人,小口正彦,篠田充功 

長野赤十字病院 放射線科  岡崎洋一,荒川和清

 

【目的】表在性食道癌における外照射+腔内照射の治療成績を解析し,至適線量を見いだす。

【対象・方法】対象は1995年から1998年までに信州大学および長野赤十字病院で治療した21例の表在性食道癌である。平均年令は76歳であり,17例は肝硬変や腎不全などの合併症を有した。m癌が3例,sm癌が18例であった。外照射4060Gy/2030(中央値56Gy)の後,Ir線源および土器屋式アプリケータを用いた腔内照射を122.5Gy48(中央値4)行った。

【結果】経過観察期間の中央値は14カ月(432カ月)で,2年無病生存率は93%であった。腔内照射を8回施行した1例で Grade 3の急性期の粘膜炎がみられたが,照射後3カ月以降の嚥下状態は全例良好(exellent83, good17)であった。

【結論】表在性食道癌における外照射(56Gy)+腔内照射(2.5Gy×4)は高齢者や合併症を有する患者においても安全かつ高い制御率を得ることができる治療法と考えられた。

7.食道癌の高線量率腔内照射

 

横浜市立大学附属浦舟病院 放射線科    渡井喜一

横浜市立大学医学部 放射線科    板垣麗子,小池 泉,幡多政治,横山浩子,

荻野伊知朗,松原 升

 

 19927月から199812月までに横浜市大病院で高線量率イリジウムアフターローディング装置を用いた食道腔内照射を施行した35症例のうち,悪性黒色腫1例を除く34例について検討を加えた。

 男性31例,女性3例,45歳〜84歳,扁平上皮癌32例,腺扁平上皮癌1例,未分化癌1例。UICC病期分類では0期:4例,T期:12例,U期:7例,V期:8例,W期:3例であった。高線量率腔内照射に外部照射を併用した症例は33例であり,高線量率腔内照射単独,治療例は1例であった。外部照射線量は7Gy(途中中止例)から66Gy(中央値,50.4Gy)であり,腔内照射線量は線源中心から512oの基準点で1回線量2.56.0Gyを週1回で,計1〜4回の治療を行った。

 線量,T分類と腫瘍縮小度,局所制御率,生存率,放射線障害,重複癌等について検討した。 

8.食道表在癌に対する高線量率腔内照射の再発様式

 

広島大学医学部 放射線科  広川 裕,赤木由紀夫,伊藤勝陽

 

【目的】食道表在癌の高線量率腔内照射の再発様式を解析し,本法の適応と限界について検討する。

【対象】925月〜983月に治療した食道表在癌63例。男女比は576,年齢分布は4389歳(中央値67歳),深達度の内訳はm癌30例,sm癌33例であった。

【方法】m1-2癌に対して腔内照射単独治療を施行し,m3癌以上に対しては腔内照射を外部照射の追加治療として行った。

【結果】死亡例は24例に認め,原病死9例,他病死15例であった。原病死9例の深達度は何れもsm癌であった。再発症例は19例に認めた。照射野内食道再発の9例のうち,5例に手術が施行,4例が救済された。照射野外食道再発4例は何れもm癌であり,局所治療で救済された。照射野内リンパ節再発8例のうち,3例に手術が施行,2例が救済された。